自然を愛するクリエイターたちに、個性豊かな日本各地の国立公園へ繰り返し訪れる魅力について聞きました。

小林昂祐 編集者
「西表石垣国立公園」

密林にある未知を探して。

高校の生物の先生が西表島に魅せられた人で、その影響で高校の卒業旅行で初めて島を訪れて以来、15回ほど足を運んでいます。道路と集落は島の海岸線にしかなく、中央部はほぼジャングル。広大な無人地帯を冒険的に歩けるのが大きな魅力です。島の中心部にあるマヤグスクの滝はその姿もさることながら、密林の奥に見えたときの神秘性は圧巻です。島では春にホタルが出現するのですが、ふわふわと光る種類ではなく、ストロボのように点滅するのが特徴。そのホタルが林床いっぱいに集まって光っているようすを初めて見たときは、感動のあまり、ただボーッと眺めていました。島に通うにつれ、だんだん地元の人とも知り合い、秘密の場所に連れていってもらったり、祭りに参加させてもらったり。ローカルの人との交流も好きなところです。

PROFILE
こばやし・こうすけ/編集者、写真家。秘境や辺境と呼ばれる地の取材をライフワークにする。長年通い続ける西表島を特集した本『Nature Boy』を2018年に発刊。東京・吉祥寺の写真集専門書店〈book obscura〉のディレクターも務める。

-AD-

KIKI モデル
「西海国立公園」

五島列島の教会建築巡り。

教会建築が多く残る五島列島。土地の人々から愛されていることがわかる小さな教会がたくさんあり、土地独特の風景や風習を感じられます。ぜひまた訪れたいのは野崎島にある旧野首教会。いまはほぼ無人島で、住んでいるのはたくさんの鹿くらい。島に残る廃校に宿泊できるので、今度は子どもたちも一緒に、家族でゆっくり旅してみたいと思っています。

PROFILE
キキ/1978年生まれ。武蔵野美術大学建築学科卒業。モデルのほか写真作品発表、エッセイ執筆など、幅広い分野で表現活動を行う。著書に『美しい山を旅して』(凡社)など多数。

山若マサヤ 編集者
「慶良間諸島国立公園」

観光しない、心の旅。

(c)SHU KOJIMA

慶良間諸島は高度に開発されたリゾートではなく、自然とともに島の人たちが暮らす生活域。商業的な娯楽、店や施設も限られています。でも、それがいいんです。光を受けて表情を変える海の青さを眺めたり、風の音を聞きながら考えごとをしたり。島の人の暮らしぶりを訪ねたり、ケラマジカの後を追って獣道に入ったり。自然も人も色濃くて、そうした時間はとても贅沢。自分の足で歩き、自分なりの何かを感じ発見していく。慶良間諸島は根源的な旅の醍醐味に立ち返らせてくれる場所だと感じます。忘れられないのは渡嘉敷島の集団自決跡地。静かな森のなかの一角で、そこだけ時間が止まっているような感覚。美しい自然だけでなく、この地の人々が経験した痛ましい戦争の記憶の一端に触れられたことも重要な体験でした。

PROFILE
やまわか・まさや/カルチャー・ライフスタイルを主に編集や執筆を行う。フリーマガジン「TOKYO VOICE」紙版の編集長、(必ずしも)旅に出ない旅行誌「MOUTAKUSANDA!!! MAGAZINE」編集長。旅の写真随筆集『どこへも行けないとしても』(七咲友梨=写真)が発売中。