韓国主要新聞の社説
「自由民主主義と市場経済体制を基盤に国民が主である国家を再建し、国際社会で責任と役割を果たす国家を作らなければいけないという時代的召命を持ってこの場に立っています」
5月10日に行われた韓国の第20代大統領就任式で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)新大統領は政権の求める価値をこう語った。
尹大統領は続いて、韓国社会が直面している問題として、「多数の力で相手を抑圧する反知性主義」「過度な両極化」「社会的対立」「北朝鮮の核開発」を挙げ、解決策としては「自由」「成長」「公正」「人権」「連帯」というキーワードを提示した。
特に「自由」を計35回も言及するほど政権の最高価値として掲げた反面、韓国の主要メディアが口をそろえて最も急がれる課題だと指摘してきた「統合」「ガバナンス」という言葉は一度も登場しなかった。

就任式の翌日、韓国の主要新聞の社説は、新任大統領の就任演説を次のように分析した。
「尹大統領は就任演説で『自由』と『跳躍的成長』を国政の核心価値として掲げた。問題は、これを具体的にどのように政策化し実現していくかという点だ。現在、国会で多数を占めている共に民主党が、文政権の政策を覆す尹政権の政策を受け入れる可能性はあまりない。大半が遮るだろう。
尹大統領はその度に一番先頭に立って野党を説得しなければならない。野党の反対に対して怒ったり喧嘩したりしてはならない。尹大統領は大統領選挙の時、『野党と素敵なガバナンスを行う』と述べた。随時野党指導部と議員に会って共感を広げなければならない」
(朝鮮日報〈尹大統領「自由」と「跳躍的成長」を宣言、ガバナンスと疎通にかかっている〉)
「尹大統領の就任演説は原論的な水準にとどまっている。自由と人権、公正、連帯など重要な価値観を掲げたが、具体的なアクションプランは見つからなかった。尹大統領が『多数の力』などの言葉を使って巨大野党を迂回的に指摘しながら、統合やガバナンスについて一言も言及しなかったことは疑問だ。
政治は妥協の芸術だ。現実は与小野大だ。嫌であろうとなかろうと、手を差し伸べて協力を求めなければならないだろう」
(東亜日報〈「自由」「成長」を強調した就任演説…繊細な実行戦略がカギ〉)