強盗・売春で捕まった元犯罪者が、「プーチンの側近」にのし上がるまで

エブゲニー・プリゴジンの正体

いまだに戦闘が収まらないウクライナ情勢のウラで、密かに暗躍していると見られる人物がいる。その男の名前は、エブゲニー・プリゴジン。外食産業で成功した実業家でありながらプーチン大統領と非常に親しく、ロシアが関与した戦争で数々の「裏の仕事」を手がけてきたという。プーチンの国家戦略を分析した書籍『ハイブリッド戦争』から、彼の知られざる素顔について紹介する。

「大統領の料理長」と呼ばれる男

エブゲニー・プリゴジン(Yevgeny Viktorovich Prigozhin)、ロシアの「ウラジーミル・プーチン大統領の料理長」と呼ばれる男であり、米国から多くの罪状で起訴されている被告でもある。

そう、プリゴジンは単なる料理長ではない。米国の民主主義に影響を与え、破壊するために努力を続けてきた人物という評価もあれば、プーチンの側でありとあらゆる組織犯罪に手を染めながら私腹を肥やしてきた人物とも言われている。そして、まちがいなく、ロシアのハイブリッド戦争の根幹を支えてきた。プリゴジンは、いったいどんな人間なのだろうか。

エブゲニー・プリゴジン[Photo by gettyimages]
 

プリゴジンは、1961年にプーチンの出身地でもあるレニングラード(現・サンクトペテルブルク)で生まれた。77年に陸上競技寄宿学校を卒業し、クロスカントリースキーに従事した。79年に窃盗で逮捕された時には執行猶予となったものの、81年には強盗、詐欺、未成年者を含む売春などの罪で、12年間の禁固刑を宣告され、9年間刑務所で過ごした。

釈放後、プリゴジンと彼の継父はホットドッグの販売ネットワークを設立し、大成功を収めた。加えて、プリゴジンは寄宿学校の同級生だったボリス・スペクトルが創始したサンクトペテルブルク初の食料品チェーン「コントラスト」の15パーセントの株主兼マネージャーとなった。

95年には、「コントラスト」の支配人だったキリル・ジミノフを説得し、翌年2人でサンクトペテルブルクにレストラン「スタラヤ・タモジュニャ」(古い税関の意)をオープン。

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