低学歴国日本の本音――大学進学より大企業就職の方がトクなのか?

知識や能力を評価しないこの国の給与

日本では、大学卒で小企業で働く人よりも、高校卒で大企業で働く人のほうが、生涯所得が848万円多くなる。日本の給与体系が個人の能力を評価するものでないために、このようなことが生じる。

「学歴が高いほど収入が多い」というが

「学歴と収入は関連しており、高学歴ほど、生涯の給与が多い」と言われる。賃金統計のデータを見ると、確かにそうした傾向がある。図1は、賃金構造基本統計調査のデータを用いて、男性の一般労働者についての学歴別・年齢別の給与(きまって支給する現金給与額。月額)を示したものだ。

図1 学歴別・年齢別賃金(その1:10人以上の企業、単位:1000円)

令和3年賃金構造基本統計調査のデータより筆者作成

初任給では大きな差はないが、その後、高校卒の給与はあまり伸びないのに対して、大学卒の給与は年齢とともに増加し、50~54歳では、大学卒が52.9万円と、高校卒34.2万円の1.5倍になる。

図1のデータから年収の数字を出し、これらを単純に合計したものを「生涯収入」と呼ぶと、大学卒は2億6639万円となり、高校卒2億0014万円より約6500万円多い。倍率では1.33倍だ。

「だから、経済的な観点からみて、大学に進学すべきだ。大学に進学しない人は、このような計算を理解していない」と言われる。

確かに、学歴は、収入を増やするための手段として、努力によって獲得できるほぼ唯一のものだから、以上の論理によれば、大学に進学するのが合理的だ。しかし、この論理はあまりに単純すぎる。事態はそれほど簡単ではない。

 

上記の数字を鵜呑みにすると、日本の高等教育制度が抱えている深刻な問題を覆い隠してしまうことになる。そして、改革の必要性が見えなくなる。

日本の大学進学率は、国際的に見てかなり低い。日本は低学歴国だ。こうなる理由は、「以上のような計算を理解していない人が多いからだ」ということではない。 経済的観点から見て、大学進学が合理的かどうかに疑問があるのだ。

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