2022.05.14

2300万円で「地方移住」した夫婦、二人を襲った「思いがけない悲劇」

悠々自適のはずだったのに…
長野 郁子 プロフィール

やっと手に入れた大事なモノを手放すのはとてもつらいことだったと思う。でも、脳梗塞を再発しなくてもいずれ車の運転はできなくなる。移動も家の管理(雪下ろし、草刈りなど)も人に頼めばお金がかかる。貯金を取り崩して生活を支えても、その家は終のすみかにはならなかっただろう。早めの撤退で経済的な傷も浅くて済んだ。

この例は大事な退職金を減らし、FP的には失敗例なのだが、私には何故かそうは思えない。引っ越しが済んだ後、夫は妻に「気が済んだ」と言ったそうだ。損しても数年であったがやりたいことができて良かったという事だろう。

私の父は旅行好き、写真好きであちこちに行って写真を撮っていた。最晩年、老人ホームの自室が父の世界の全てになってからも、この旅先での写真を飽きもせず眺めながら、楽しかった思い出を何度も語った。

旅行も住み替えもそのこと自体より、その後の長い人生でやりたかった事ができた満足感や何度も語る楽しい思い出こそが、人生にとって値打ちがあると思う。私が自己実現型の住み替えを一概に否定しない理由はこの点にある。ただ、くれぐれも撤退準備を忘れないで欲しい。

 

ある50代夫婦のケース

次は「現実型」の一例(もちろん守秘義務のため内容は大幅に変えてあります。)

首都圏のK県で公務員の夫Yさん(58歳)と専業主婦のRさん(54歳)ご夫婦は、25歳になる社会人の娘さんが1人いる。今は同居しているがいずれ家から出る予定。そんな妻のRさんからの相談であった。

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