「勝利」にしがみつこうとするロシア
相変わらずウクライナにおけるロシアの「特別軍事作戦」が続いているが、ロシア指導部が考えている「落としどころ」がどこにあるのかがまだ見えてこない。
ロシアにとっては振り上げた拳を下ろすためには何らかの「勝利」がないといけないが、何をもってして「戦果」となるかはロシアだけの判断で決まるものではない。

ウクライナの「非軍事化」を唱えた以上、ロシアとしては「ウクライナにおける主要な軍事施設・外国製武器は破壊した」と言えば、国内外に向けて何らかの「勝利」を宣言することができるかもしれない。
しかし、ウクライナにおけるロシアのそのような一方的な宣言がそのまま受け入れられることはないだろう。
そもそも現実問題として、ウクライナに対する武器・装備品や資金援助は拡充されているし、国際社会におけるゼレンスキーのプレゼンスはかつてないほど強まっている。これは当初、ロシアへの圧力への参加に対して消極的であったドイツの態度をも変えるに至っている。
ウクライナとしては、ロシアの圧力に屈する理由がない。
他方で、ロシアは完全に世界経済から切り離されたわけではないが、その孤立は確実に深まっている。
それでもロシアは当分「勝利」にしがみつこうとするだろう。