上島竜兵さん、渡辺裕之さん…「芸能人の死」を扱う報道で、芸能記者が葛藤していること

相次ぐ訃報

ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが亡くなった。先日、俳優の渡辺裕之さんが亡くなられたばかりでの相次ぐ訃報は、ともに自殺だと伝えられている。

〔PHOTO〕Gettyimages

芸能記者として言えば、近年、最もやりにくい仕事が訃報に関するものだ。この10年くらいでこうした記事への「不謹慎だ」という声が増えたからだ。以前はそれとは逆だった。著名人の死には謎が残されたケースがあり、たとえば自殺や不自然に見える事故死については、情報の需要は高かった。だから、いろいろ取材を進めて、何か真実につながるような手掛かりはないかと探ってきた。

もちろん遺族を直撃したり、無礼な取材は控えた。あくまでも差し支えない範囲での情報収集で、真剣に「なぜ?」を追った。そのほとんどは100%の真相に辿り着くことはなかったが、週刊誌や月刊誌で分かったことを記事にすると大きな反響があった。大半は好意的な意見で、ファンから感謝の手紙をもらったことも一度や二度ではない。著名人の死についての記事をまとめたムックも、かなりの部数が売れたものだ。

 

もちろん、手放しで喜べる仕事ではない。その手の取材は、重く複雑な心境の中で進む。アナウンサーだった川田亜子さんとは同じ番組に出演した縁で、プライベートでも連絡を取り合っていたため、彼女が自殺したときは、すぐに記事が書けなかった。共通の友人であった彼女の親友からも話を聞き、当時のテレビスタッフたちの大きな動揺も直接見聞き、そこにかかってきた恋人男性からの電話の内容まで把握していたが、それらの情報を文章に起こす気にならなかった。

後にいくらか記事にできたものもあったが、知っている話の半分も書いていないままだった。そこはプロのジャーナリストとしては失格だ。本来は彼女を想って、少しでも情報を知りたい誰かのために書き残せる話があったのだから。

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