日本では、4000万人以上が何らかの慢性頭痛を持っているという。

「その中で『片頭痛』持ちの人は国内に1000万人いるといわれています。男女比で言うと男性1に対して女性4で、女性に多く見られるのも特徴のひとつです」というのは、東京・千駄ヶ谷にある頭痛専門クリニックの丹羽潔医師。

どの頭痛もつらいが、緊張型頭痛と片頭痛の両方を罹患している私は、特に「片頭痛」が苦手だ。いつ起こるかわからない発作に怯え、片頭痛の前兆が始まると半ばパニックになってバッグの中の薬を漁り、運悪く薬を飲むタイミングを逃すと半日以上は動くこともできないような激痛と戦わねばならない。なのに「でも、一時的に頭が痛いだけで命にかかわるような病気じゃないんでしょ?」などと、無慈悲な言葉を投げつけられることもある。

そんな他人には理解してもらいにくい片頭痛の悩みについて、丹羽医師が詳しく解説してくれた。

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片頭痛持ちの8割は緊張型頭痛も併発

そもそも片頭痛は、どのような仕組みで起こるのだろうか。

「片頭痛の症状として『片側のこめかみがズキズキする』と表現されることが多いですが、実際には片側だけに痛みを感じる人は60%ほどで、両側が痛い、もしくはズキズキしない頭重感があるというタイプも40%。一口に片頭痛と言っても、その症状にはかなり個人差がありますね。

片頭痛を引き起こす様々な要因(トリガー)によって、脳内のセロトニンが消費されると、自律神経や三叉神経の興奮を制御できなくなり、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(略してCGRP)というアミノ酸が分泌されます。強力な血管拡張作用があるCGRPが三叉神経の興奮でどんどん分泌されると、頭の中の血管が拡張して炎症が起こり、これが片頭痛の激しい痛みになるのです」(丹羽先生)

自称「片頭痛持ち」の人が多い。片頭痛は治療のガイドラインがあるので、専門医に相談を。photo/iStock

純粋に片頭痛だけを持っている人はおよそ200万人。それに対し、緊張型頭痛と片頭痛を併発している人が、約800万人。私もこの併発型だ。『片頭痛発作が起こったらなるべく早く片頭痛の処方薬を飲むように』と医師に勧められているが、正直、頭が痛くなったとき緊張型頭痛なのか片頭痛なのか判別できず、どちらの処方薬を飲むべきか迷うことがある(片頭痛の薬は頭痛発生のメカニズムが違う緊張型頭痛には効かない)。

「頭痛治療では、頭痛のタイプに合わせて処方箋が異なります。片頭痛には片頭痛専門の処方薬があり、緊張型頭痛にも専用の処方薬があります。どっちを飲んでいいか判断に迷ったら、緊張型頭痛に効く鎮痛剤と片頭痛用の薬の両方を一緒に飲んで、かまいません。

『頭痛の薬を同時に飲むなんて……』と怖がる人もいますが、緊張型頭痛が引き金になって片頭痛発作が起きる人も多いですし、『なんとなく頭が重い』という緊張型頭痛がベースあって、片頭痛の痛みがプラスされると、さらに痛みのレベルは高まります。両方一緒に飲んで、筋肉のこわばりからくる緊張型頭痛と脳内の血管拡張が原因の片頭痛を同時に鎮めることで、短時間でラクになるでしょう」(丹羽先生)