映画『教育と愛国』が問う「政治に介入・圧迫される教育現場」の危機的状況

教科書で“いま”何が起きているのか

政府による歴史の改竄

「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」

文部科学省が今年3月末に公表した高校教科書検定では、日本史や世界史などの教科書の、第二次世界大戦中の日本軍による朝鮮民族に対する強制連行や従軍慰安婦など、「加害の歴史」についての記述に、このような検定意見が過去最多の14箇所にわたって付けられた。

これを受け各教科書会社は、〈強制連行〉を〈動員〉〈連行〉を〈徴用〉、そして〈従軍慰安婦〉を〈慰安婦〉とするなどの“修正”を行い、あるいは「昨年4月の閣議決定」について説明する注釈を加えることによって検定に“合格”。これらの教科書は2024年度春にも、教育現場に配布される。

映画「教育と愛国」より

昨年4月の閣議決定とは以下のようなものだ。

〈 朝鮮半島から内地に移入した人々の経緯は様々であり、これらの人々について、「強制連行された」と一括りに表現することは、適切ではない。また、旧国家総動員法により徴用された朝鮮半島からの労働者の移入については、「連行」ではなく「徴用」を用いることが適切であると考えている 〉

「日本維新の会」の馬場伸幸・衆院議員の質問主意書に対する答弁書を、菅内閣の意思として決定したものだった。

 

2006年12月、第一次安倍政権で、教育基本法が“改正”され、戦後初めて「愛国心」条項が盛り込まれた。そして同月、それに呼応するかのように文科省は、歴史教科書における沖縄戦での「集団自決」への日本軍の強制や関与についての記述に対し、〈 沖縄戦の実態について誤解する恐れのある表現である 〉と、削除を求める検定意見を付すのだ(公表は翌年3月)。
 
この「政府による歴史の改竄」ともいえる行為に対する沖縄の怒りは凄まじく、07年9月に宜野湾市で開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」には、1995年の「米兵による少女暴行事件に抗議する沖縄県民総決起大会」の8万5000人を超す、11万人が集まった。
 
しかし第二次安倍政権で、文科相に就いた下村博文はさらに、教科書検定基準を“改正”し、政府見解に基づいた記述を求める規定を加えたのだ。

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