2022.05.14

どんなに国内で「再分配」をやっても、「日本の貧しさ」はいっこうに変わらない根本の理由

生活水準を下げる物価上昇

個々人が自らの利益を追求すれば、その結果として社会全体において適切な資源配分が自然と達成される—。

かつて『国富論』のなかでアダム・スミスが、「神の見えざる手」として示したこの市場メカニズムの原則は、現代の経済学の基礎になっている。

一国全体での「生産」は、賃金や資本の分配として、必ず誰かの「所得(分配)」となる。また、分配された所得は家計が何らかの形で「支出」する。このため、「生産=分配=支出」という経済学で有名な「三面等価の原則」が成立する。

すなわち、国内総生産(GDP)と国内総所得と国内総支出は一致するという原則だ。

だが、この原則が成立するのは、物価上昇などによるモノを買う力(購買力)の変化を考慮しない「名目」の場合であり、変化を考慮した「実質」の場合では異なる。

Photo by iStockPhoto by iStock
 

そもそも、物価上昇は気づかぬうちに国民の購買力を奪い、人々の生活水準を引き下げる可能性がある。たとえば、賃金が変わらないにもかかわらず、物価が上昇すれば、その分だけ国民は貧しくなったといえる。

そしてこれは、個々の家計だけでなく、国家単位で捉えた場合も同様の理屈が成り立つ。

試しに国全体を一つの家計だと考えてみよう。

SPONSORED