2022.05.11
# 台湾 # 中国

台湾が一方的に破ったと中国が非難する「92年コンセンサス」とは何

中台対立の本質に迫る論争の中身

ウクライナ問題と本当に違うのか

ウクライナ戦争が連日メディアで大々的に報じられる中、核大国による軍事攻撃の可能性という点から連想される中台関係への関心も高まっている。その際、中国が決まって強調するのは、「ウクライナ問題と台湾問題は全く異なる。台湾は中国の一部であって、国際問題ではなく、純粋な内政問題である」という主張だ。

そしてその根拠の一つにされているのが、1992年に中台間で合意されたという、「92年コンセンサス=九二共識」である。ウィキペディアを引くと、「九二共識」の項には以下のような説明がある。

――九二共識(きゅうにきょうしき)とは、中華人民共和国と中華民国(台湾)の当局間で「一つの中国」問題に関して達成したとされる合意の通称である。名称は、中国側窓口機関海峡両岸関係協会と台湾側窓口機関海峡交流基金会が、1992年に香港で行った協議に由来し、2000年4月に台湾の行政院大陸委員会主任委員蘇起が名付けて公表した。日本語では92コンセンサス、1992年コンセンサス、92年合意などと訳される。合意内容について、中華民国側の主張は「双方とも『一つの中国』は堅持しつつ、その意味の解釈は各自で異なることを認める」(いわゆる一中各表)であり、中華人民共和国側の主張は「双方とも『一つの中国』を堅持する」(いわゆる一中原則)であるため、必ずしも一致していない。――
 
中国側は、このコンセンサスを台湾の蔡英文政権が一方的に破ったと非難しており、日本でも中国側の主張に沿った議論が見られる。

蔡英文総統 by Gettyimages
 

例えば拓殖大学教授の富坂聰氏は、「知恵の無さ露呈。ウクライナ危機に乗じ憲法改正を吹聴する人が信用できぬ訳」との文章の中で、「例えば台湾海峡で緊張が高まった裏側には、台湾の蔡英文総統が島内の反中感情を利用して『92年コンセンサスなどなかった』と民族感情を煽って政権浮揚に利用した事実があるにもかかわらず、台湾海峡の問題が報じられるなかで、台湾側の一方的な行いに触れられることはほとんどないのだ。事態を落ちつかせるために「92コンセンサスに戻れ」というのは理屈は通っているし、ゼレンスキー大統領がミンスク合意を履行するのは当たり前のことだ」と述べている。

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