幼少期から母の精神的・肉体的虐待を受けていた若林奈緒音さん(仮名)。30代で結婚し、自分のままでいいと思えるようになって初めて、かつて受けた虐待のことを口にできるようになった。
そして病院で診てもらうと、殴られ続けた後遺症で、顔が歪んでしまっていることがわかったという。

顔が歪んでしまうほど殴られるとは一体どういうことなのか。
そのとき父親はどうしていたのか。

顔の歪みの一番の原因となったと思われるのは、高校1年生のときに受けた暴力だ。前編「高校合格の日に母からボコボコに…入学前からの悪夢と兄との関係の大きな「変化」」では、母の希望のバレーボール部に入らなかったことで、青痰ができるほど顔を殴られたことをお伝えした。そんな風に暴力をうけながら、距離が近くなった兄の存在や、自分を尊重してくれる彼氏の存在が若林さんの救いだった。

しかし、この彼氏とのデートが原因となり、頬骨が動いたと認識するくらいの暴力を受けることになったのだという――。

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束の間の幸せな時間に…

ある朝、私は母に「部活で遅くなる」と言って学校に出かけた。
というよりも、私は毎日そう言って学校に行っていた。遅くなるといっても、門限が17時だったので、17時より遅くなるという意味である。そうでないと早く帰宅してずっと家事をさせられるからだ。
そして、この日も同じように言って家を出た。
実は入っていたバスケ部はゆるゆるだったし、何より隣のバレー部の人から「結局うちの部に来なかったね」と嫌味を言われるのが嫌だったので、部活はさぼりがちだった。

その日も同じように部活をさぼり、彼と束の間のおしゃべりを楽しんでいた。
しかし17時過ぎでももう十分暗い季節。時間が気になりソワソワしている私に気付いて、18時前に帰ることにした。普段、暗いから通るなと言われている駅の裏の自転車置き場の路地に差し掛かったところで、ここで大丈夫と彼に言った瞬間、大きな声で名前を呼ばれた。母だ。

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最近遊びに行ってしょっちゅう家を空けていたにもかかわらず、運悪く駅のスーパーに行った帰りに出くわしてしまったのだ。鬼の形相で、「何してるの!」とつかつか近寄って髪を引っ張り、引き離された。「あんたは先に帰りなさい」と怒鳴った。体がガクガクと震え出した。彼が心配そうに見ていたけど、急いで家に帰り、やらなきゃいけない家事に取り掛かった。