小学5年生のときの、身体が痺れる映画体験

現在、話題沸騰中のWOWOWドラマ「TOKYO VICE」。1990年代の東京アンダーグラウンドを舞台にしたドラマで、裏社会とつながりのある刑事・宮本役を演じている伊藤英明さんは、この役をオーディションで勝ち取った。第一話を監督し、全話のエグゼクティブ・プロデューサーとして参加したのは、ハリウッドの巨匠マイケル・マン。伊藤さんが、エンタテインメントの世界に足を踏み入れてから、「いつか一緒に仕事をすることができたら」と憧れていた監督だった。「その“思いの強さ”があったから、役を勝ち取ることができた」と語る伊藤さんの、何かを切望するその“思い”の原点は、小学生時代に遡る。

(c)HBO Max _ James Lisle
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「初めて自分のお小遣いで映画を観たのは、小学校5年生のときです。当時話題になっていた『トップガン』が観たくて、映画館に行きました。トム・クルーズは若き海軍飛行士の役で、日本ではまだ無名だった。でも、そのカッコよさが目の前にグングン迫ってきて、身体中が痺れるような体験をして……。以来、トム・クルーズが大好きになりました」

俳優になってからも、トム・クルーズの出演作品は必ずチェックしていた。そんな中で、2002年に放送されたドラマ「天体観測」で、小雪さんと共演したときは、小雪さんから「ラスト・サムライ」で共演したトム・クルーズのエピソードを聞くことができた。

「そのとき聞いた、トム・クルーズのエピソードがいちいちスケールが大きくて、でも人間味に溢れていて、『すごいな、ハリウッド』と驚くことばかりでした(笑)。『ラスト・サムライ』の次の出演作が、マイケル・マン監督の『コラテラル』です。ジェイミー・フォックス演じるタクシードライバーが、トム・クルーズ演じる殺し屋を運ぶタクシーで殺しの現場へと運んでいく物語ですが、夜の映像がとにかくカッコよかった。メイキングを見たら、マイケル・マン監督が、照明にものすごいこだわりを持っていて、アクションに関しても、すごくリアリティを追求していた。

出演していた俳優の1人は、『監督が、俳優が存在すべき空間を完璧に作り上げてくれるから、そこでは役になりきることができる。何度もテイクを重ねるので、マイケル・マンと仕事をすることは、マイケル・マン塾に入るようなものだ』とコメントしていました。それを観て、漠然とですが、『いつか、こういうこだわりのある監督のもとで演じてみたい』と思いましたね」

撮影/篠塚ようこ
伊藤英明(いとう・ひであき)
1975年8月3日生まれ、岐阜県出身。1997年日本テレビドラマ「デッサン」で俳優として始動。2000年テレビ朝日「YASHA-夜叉-」で連続ドラマに初主演、映画「Blister」で映画初主演。04年映画「海猿 ウミザル」が公開され、翌年連続ドラマ化。06年、映画「LIMIT OF LOVE 海猿」へとシリーズ化。映画の代表作に、「悪の教典」(12年)「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」「252生存者あり」(14年)「22年目の告白〜私が殺人犯です〜」(17年)「KAPPEI カッペイ」(22年)などがある。