友達ってなんだろう。
辞書を引くと、こんな風に書かれていた

親しく交わっている人。とも。友人。朋友。元来複数にいうが、現在は一人の場合にも用いる。(広辞苑)
互いに心を許し合って、対等に交わっている人。一緒に遊んだりしゃべったりする親しい人。友人。朋友 (ほうゆう) 。友。 (goo辞書)
親しく付き合っている人。(三省堂例解国語辞典)

「親しい」をさらに引くと、「昵懇じっこんである。心にへだてがない。(広辞苑)」「仲がいい。心安い。(三省堂例解国語辞典)」などとあるから、「心を許してすごせる相手」、といえるだろう。
しかし仲がいいと思っていても、心にへだてがないと思っていても、その関係性が壊れることは当然あるし、その思いが実は一方通行のことだってある。都合のいいときだけ「友達」扱いされることだってある。友達は一緒にいて楽しいかもしれないけれど、モヤモヤの原因にだってなる。

益田ミリさんの最新作『ミウラさんの友達』は、まさに「友達ってなんだろう」のモヤモヤを解消して、人っていいなあと思わせてくれるような作品だ。

「すーちゃん」シリーズはじめ、日常なんとなく考えているできごとに対して様々な気づきを与えてくれる益田さんが、漫画デビュー20周年記念作品に「友達」をテーマに描いた理由は何か。益田ミリさんに、メールでのインタビューにお答えいただいた。

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長い付き合いの友だちとの関係が…

『ミウラさんの友達』の主人公のミウラさんは、高校の時から仲が良かった長い付き合いの友達がいた。何も言わなくても気の合う関係で、大人になってからも仕事の帰りにたまに一緒に食事をしていたほどだ。しかしミウラさんが送ったメールで、その関係性が一気に崩れてしまったようで、連絡が取れなくなってしまっていた。

そんなモヤモヤを抱いているときに不動産屋で出会ったのが、「トモダチ」というロボットだった。この不動産屋は委託でアート作品を販売しており、そのひとつが身長160センチの女性の「トモダチ」だったのだ。初期設定で4つの言葉が組み込まれており、5つまでは話すことが可能だと言う。つまり、購入者が5つ目の言葉を選ぶことができるのだ。

悩みに悩んだ末、ミウラさんは「トモダチ」と「同居生活」を始めることとなる。

(c)益田ミリ/マガジンハウス

「わたしもわたしのロボットを描きたいと思った」

――漫画家デビュー20周年おめでとうございます。記念すべき作品のテーマを「友達」にすると決めた理由と、ロボットを登場させた構想の経緯を教えてください。

益田 友達と仲よくと教えられてわたしたちは大人になるのに、大人になってもうまくいかないことはあるもの。「友達」はずっと大切なテーマのひとつです。

昨年、カズオ・イシグロさんの『クララとお日さま』を読んだんです。少女とロボットの友情物語なのですが、読み終えた後しばらく身動きが取れなくなったほど素晴らしくて。わたしもわたしのロボットを描きたいと突き動かされました。

原稿用紙を広げると自然に主人公のミウラさんが出てきました。ロボットを描きたいとペンを取りましたが、ロボットを通して人の人との出会いや別れに向き合う物語になっていきました

友達の話、家族の話、そしてこの物語には恋の物語も編み込まれているんです。つらいことがあっても人間はおなかも減るし恋もする。恋が芽生えるシーンは描きながらわくわくしていました。読み終えた後、いろんな感情が胸に残る本になっていたらいいなぁと思います。