2022.05.13

生物進化の歴史に学べ、デフレ社会の失敗はインフレ社会の成功になる

思いがけない失敗こそが躍進の原動力

進化は遺伝子の失敗によっておこる

「進化」という言葉には、物事が「右肩上がりで高いレベルに発展していく」というイメージが一般的に強いようである。

例えば、塵よりも小さな単細胞生物が「進化」して高度な文明を持つ人間(ヒト)が誕生した。あるいはサルから(厳密には人間とサルの祖先が同じ)「進化」して人間になったという具合である。

by Gettyimages

このように捉えると、生物は環境の変化に対応し、切磋琢磨しながらより高い能力を獲得(進化)してきたように聞こえる。

だが、例えば地球上に生命が誕生してから生物の大量絶滅は何回も起こっている。これらの絶滅では、当時「進化の頂点」にいた生物も大量に消え去った。

ジュラ紀における恐竜の繁栄は、映画「ジュラシックパーク」シリーズでも有名だが、恐竜が大繁栄した時代、哺乳類(の祖先)は「恐竜のおやつ」にしか過ぎなかった。

しかし、恐竜が滅亡した後、それまで夜目立たないようにひっそりと活動していた哺乳類たちの時代がやってくる。そして、哺乳類の中でも恐竜同様「進化の頂点」にいるように見えるのが人類だ。もっとも、人類が恐竜たちと同じ運命をたどらないという保証はないのだが。

さらに、遺伝子学(生物学)的観点から考えると、また違った姿が見えてくる。

遺伝子と進化が密接な関係にあることはよく知られる。例えば人体に数十兆個もあるとされる細胞が新たに細胞を生み出す際のコピーミスや、DNAが宇宙線で傷ついたりして起こった「エラー」による突然変異が進化の根源だ。

つまり、遺伝子の観点でいえば、「ミス」や「失敗」が「進化」を引き起こすのである。ただし、ほとんどのミスは生物個体に影響を与えず、また生物の生存に不利に働いてしまう「ミス」や「失敗」も当然多い。

しかし、ごくまれに(その環境における)生物の生存に有利な突然変異が起こり、その個体の子孫の数が増えていく。そして、その突然変異を起こした個体がその種(例えば人間)の主流となることによって「進化」するのである。

 

つまり、突然変異そのものは、言ってみれば本来定まった(遺伝子の)仕様書から外れた失敗にしかすぎず、たまたまごくまれに生まれる有用な性質が受け継がれているのだ。つまり、「失敗無くして進化無し」である。たぶん遺伝子のコピーミスや宇宙線などによるエラーなどが無ければ、地球上のすべての生物は、原始的微生物だけであったに違いない。

結局、「進化」とは「災い転じて福となる」ならぬ、「失敗転じて成功になる」ことだと理解すべきなのである。

そして、この事実は、生物学(遺伝学)分野だけではなく、一人の人間が生まれてから死ぬまでの「進化」の過程でも同じだと考える。

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