インドネシア高速鉄道が「中国の中古車両が走る中国の鉄道」に成り果てる可能性

再度の資金不足で中国に追加支援要求へ

3兆ルピアを国庫から負担

インドネシアの首都ジャカルタと西ジャワ州の州都バンドン間150kmを結ぶ高速鉄道計画が壁に直面している。

インドネシア側と中国側で合弁を組む「インドネシア中国高速鉄道会社(KCCI)」などによると、建設費用が不足しており、このままでは2022年度中の開業も難しい局面になりかねない、というのだ。

資金不足は主に用地買収の遅れや建設現場周辺への環境対策によるものとされ、当初の見通しの甘さや杜撰な資金計画が浮き彫りとなっている。

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この高速鉄道計画は2015年、ジョコ・ウィドド政権が公表し、日本や中国など海外業者の入札を求めた。鉄道技術では世界有数の日本は官民連携でこの入札に応じたが、インドネシア政府は突如入札の延期を発表、その直後に再度の入札を実施して中国が落札した経緯がある。

当時の菅官房長官は、安全性を最優先して有力視されていた日本から突然中国に鞍替えしたインドネシアの姿勢に「常識的に考えられない」と不快感を露わにした。

 

中国側は、早期着工・早期完成・開業をうたい上げ、環境アセスメントもいい加減なものと言われる。一説にはインドネシア側が日本の環境アセス資料を裏で流し、中国はそれに少し手を加えて提出したともいわれるなど、いわくつきの落札だった。

さらに建設に関わる一切の費用について「国庫負担を求めない」としたことが、「自分の懐が痛まない」と歓喜したインドネシア側が中国に落札させた最大の決め手と言われた。ところが、建設費は様々な要因から不足し、2021年11月にはインドネシアが当初の約束に反する不足費用の国庫負担を決め、3兆ルピア(約357億円)を支出することになった。

このころから最初は諸手を上げて大規模国家プロジェクトである高速鉄道計画を持ち上げていたインドネシアメディアの中にも「本当に実現できるのか」という疑心暗鬼が生まれ、以後、ジョコ・ウィドド政権に対して否定的な報道もみられるように事態が変化した。

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