ベネッセアートサイト直島や瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)の舞台となる「瀬戸内海国立公園」。アートと自然が共存する島々には、あるものを生かしていく知恵が息づいています。

今回は、瀬戸内海に移住したご夫婦を紹介します。瀬戸内海に惹かれ、そこで暮らすと決めた人たちがいる。都会とはまったく異なる生活と、島の魅力とは?

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近所との心地いい距離感が絶好の創作環境を生み出す

「PHABLIC×KAZUI」デザイナー瀧澤日以、範子

Instagram:@kai_phablic

PHABLIC×KAZUIのデザイナーとして活動する傍ら、ミュージシャンのステージ衣装や舞台美術を手がける瀧澤日以さん、範子さん。「アート小豆島・豊島2014」に劇団ままごとのメンバーとして参加し、島に魅了された2人は、毎年、春と秋に小豆島を訪れるようになった。

「家族みんなで小豆島のことが大好きになっちゃって。足を延ばせば世界に誇る美術館がある。こうした生活のなかにアートがある場所はめったにない。しかも3年に一度、瀬戸芸でつくり替えられ、つづいていくのは魅力的だなと。入り口がアートフェスだったこともあって、島の人とも最初から密接にやり取りをさせてもらえて、島に来るたびに『おかえり』と言ってもらえる関係になりました」

築50年の空き家を半分DIYでリフォームした2階部分は、瀧澤さん夫妻と3人の子どもたちが暮らす空間。

なじみの旅先が住処になったのには理由がある。コロナ禍で立ち止まらざるをえない状況になったとき、瀧澤さん一家はこれからの生活をどう送りたいかを考え、移住先を求めて日本各地を巡る旅に出た。最後に立ち寄ったのが小豆島だった。

「住むならどこが面白いかという視点で見ると、生活は難しいと思える離島にもかかわらず、小豆島移住にまったく不安がなかった。ストンと腑に落ちた感覚がありました。独立した経済圏がある点で安心感もあったし、とくに坂手エリアの懐の深さに惹かれました。移住者を島の一員として受け入れ、緩やかに手助けしてくれる。うるさく口出しはしない。その距離感が気持ちいいなと」