ベネッセアートサイト直島や瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)の舞台となる「瀬戸内海国立公園」。アートと自然が共存する島々には、あるものを生かしていく知恵が息づいています。

今回は、瀬戸内海に移住したご夫婦を紹介します。瀬戸内海に惹かれ、そこで暮らすと決めた人たちがいる。都会とはまったく異なる生活と、島の魅力とは?

-AD-

豊かな染め色を求めてたどり着いた島

夫婦ユニット「Veriteco」浅田真理子、美樹雄

草木染めの糸や生地でクチュール・アクセサリーをつくる浅田真理子さん、美樹雄さんの夫婦ユニット「Veriteco(ヴェリテコ)」。以前は東京に店舗を持ち、制作活動をしていた2人が豊島に移住したのは今から7年前、2015年のことだ。

「自分の店に来てもらうというより、イベントなどに出展、販売するスタイルが主流になり、アトリエさえあればどこでも生活ができるようになったんです。材料に限りがある東京の草木染めに物足りなさを感じていたこともあり、感性や材料面でインプットができる場所での生活を考え始めました」と真理子さん。

瀬戸内海とは縁もゆかりもなかったという夫妻だが、植物を育てやすそうな環境だというイメージだけで、瀬戸内海で家探しを始めた。美樹雄さんはこうつづける。

「最初は小豆島で空き家を探していたんですがいい出合いがなく、豊島を検索してみたら、棚田に近く、雰囲気もいい家を見つけた。それから、初めて豊島を訪れたんです(笑)。植物が手に入りやすい場所であることはもちろん、豊島美術館の風景も好きですし、何もないときは静かなのに瀬戸芸のときは国内外の人で賑わうギャップも含めて、島で完成された独自の文化に惹かれたことが移住の決め手になりました」

一つひとつ手仕事で生み出される、植物をかたどったアクセサリーは、すべて豊島の草花で染めた糸、生地を使ったもの。