イーロン・マスクvs.EUデジタル市場法…「言論の自由」は本当に守られるのか

総額440億ドルの買収劇の行方

Twitter社買収の理由

世紀の異端児イーロン・マスク氏がTwitter社の買収に成功したようだ。いうまでもなく、テスラ、宇宙開発企業スペースX、ペイパル等々の創業者。現在、世界一のお金持ちとも言われるが、彼の事業にはどれも、単にお金のためだけにやっているとは思えない精神の自由闊達さを感じる(単に私の主観)。

Twitter社とマスク氏はあまり仲が良くないらしい。そのため買収にあたってTwitter社による妨害行動が予想され、しばし緊張が続いたが、結局、25日、早くも買収成立の速報が流れた。資金を個人で調達し、総額440億ドル(約5兆6000億円)の買い物というから、話のスケールは大きい。さすがに火星入植計画を語る人だけのことはある。

Gettyimages

氏が挙げているTwitter社買収の理由はいたって単純で、言論の自由を確保するためという。2020年、トランプ大統領がツイッターから締め出された事件は記憶に新しいが、Twitter社のそういうシステムを、マスク氏はかねてより批判していた。

マスク氏は自分のことを、「言論の自由の絶対主義者」と自負しており、Twitterの投稿も、犯罪性のあるもの以外は、よほどのことがない限り制限をかけるべきではないと主張している。つまり氏の目標は、Twitterを公平な意見交換の場に変えることで、利益は二の次。それどころか、役員報酬はゼロにするなどとも言っているらしい。ある意味、この買収劇は政治的な爆弾でもある。

 

当然、マスク氏のこの行動を面白くないと思っている勢力は多い。ドイツの主要メディアもその一つらしく、26日のニュースでは、マスク氏は、ネット上の秩序を乱そうとする荒くれ者のような扱いだった。

公営の第1テレビは、「批評家は、マスクがメディアに過大な影響力を行使することを懸念している」とし、「アメリカ風の言論の自由はヘイトスピーチの容認か」とか、「マスク氏の言論の自由は本人だけに有効」などという専門家のコメントが引用されていた。

また、ドイツだけではなく地元米国でも、「民主主義が生き延びるためには、規制は増やすべきで、減らしてはいけない」とか、「検閲なしのインターネットというマスクのビジョンは独裁者の夢だ」とか、かなり破茶滅茶な批判が飛び交っている。

言論を統制しなければ民主主義が守れないとか、言論の自由は独裁者の手法だという主張は、普通に考えれば逆ではないか。中国は言論を統制し、検閲は完璧に近いが、独裁者はいるし、民主主義とは程遠い。

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