3月30日からNETFLIXにて配信がスタートした『はじめてのおつかい』(英題:『Old Enough!』)。2~6歳の子どもが初めておつかいに挑戦する様子を撮影した人気番組だ。日本では1991年から約30年間にわたり放映されてきた。そんなご長寿番組が今、海外で「とにかく泣ける!」と反響を呼んでいる。

英紙The Guardianでは「とにかく子どもたちが愛らしいTV番組だ。(中略)小さな子どもたちの奮闘に、感情がジェットコースターのように揺さぶられると同時に、それこそが日本でも長く続いた人気の理由に違いない」と評し、一方アメリカのCBSニュースでは、「アメリカでは『こんなにも幼い子どもたちに一人でおつかいに行かせるのは早すぎではないか』という議論を巻き起こしている」と報道している。

海外での反応から見えてきた日本的子育ての本質とは? アメリカでの育児経験を持ち、日米の子育て事情にも詳しいライター・翻訳家の大井美紗子さんにお話を伺った。

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アメリカで“はじめてのおつかい”をしたなら通報必至

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「『はじめてのおつかい』を見たアメリカ人の友人に感想を聞いたところ、口を揃えて言っていたのが『日本ってすごく安全なんだね』という反応でした。もちろん、あくまでTVショーなので、現実的に日本でも未就学児を一人で買い物に行かせることはほとんどないと思いますし、実際は小学生に上がってから、というのが一般的だと思います。

しかしアメリカでは、州によっては『8~14歳未満はひとりで留守番させてはいけない』という法律があります。「〇歳未満は一人で歩かせてはいけない」という明確な法律こそないものの、学校や習い事も保護者の送迎が必須です。自宅での留守番さえ育児放棄とみなされるので、もしアメリカで未就学児が一人で出歩いていたら、微笑ましいどころか、警察に通報して保護してもらわなくては、と思われますね」

日本とアメリカの子育て事情が異なる点のひとつとして、社会への警戒心の高さがあるという。

「平成を舞台に始まった『はじめてのおつかい』にもよく表れていると思うのですが、日本は個人と社会の境目があいまいで、特に地方では、令和の今でも地域で一体となって子どもたちの成長を見守る文化があるように感じます。

一方、アメリカでは『社会は命の危険もあるほど、残酷で恐ろしいところにもなり得る』という警戒心が根底にあり、愛するわが子の成長につながるから早いうちから社会に放り込むという考えよりも、適切な年齢になるまで親が大切にケアするという意識が強いと感じます。そのような背景もあって『はじめてのおつかい』を見て、日本との文化の違いに驚くのではないでしょうか」