2022.04.28
# ビジネス

吉野家「生娘シャブ漬け」発言から透けて見える「時代錯誤な旧来型マーケティング」の限界

4月16日、早稲田大学の社会人向けマーケティング講座で吉野家の元常務が、若い女性を同社に呼び込む施策を考えるさい「生娘をシャブ漬け戦略」などと発言した問題は各方面に波紋を投げかけ、中でもマーケッター界隈では、企業のマーケティングのあり方について議論が起きた。
今回の発言に象徴される「旧来型マーケティング」の問題点とは。マーケティングコンサルタントであり、一般社団法人カスタマーサクセス推進協会代表理事の大坂祐希枝氏が解説する。

問題発言から透けて見える「旧来型マーケティング」

 吉野家元常務の「生娘をシャブ漬けに」発言は、当人の解任では収まらず、CMOとして採用していた吉野家、講師として招聘した早稲田大学まで巻き込む大きな事態に発展した。

吉野家やアドバイザー契約を結んでいたコンサルティング会社は、解任の理由を「人権・ジェンダー問題の観点から、到底許容することができない発言」としている。

勿論、あの発言には人権・ジェンダー意識のかけらも感じられないが、今回の騒ぎで私が最も問題だと感じたのは、「田舎から出てきた女性を牛丼中毒にする」という発想が、昭和の高度成長時代の「大衆をうまく誘導して消費を喚起する」という旧来型マーケティングのままだということだ。

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この「大衆を企業の目的の方向にうまく誘導」のうさん臭さに反応し、SNSには「だからマーケティングは信用できない」と不快感を露にするコメントも多い。

しかし私は今回の件は、このVUCAの時代に、どこにマーケティングの行先を求めてよいのかわからない大企業が、旧来型マーケティングの成功者に、それが時代とズレていると気づかずに頼った結果、もろとも落とし穴に落ちてしまったということだと考える。

デジタル時代のいま、マーケティングの基本はエンドユーザーとの双方向コミュニケーションである。お客様との関係性を大切にして、ニーズに的確に応える姿勢が企業の将来を作る。一時的なヒット商品や人気キャンペーンは存在しても、自社サービスを支持する顧客のインサイトから発想し、継続的に展開しなければ企業は成長できない。

「大衆をうまく誘導すれば売上があがる」という発想は、このデジタル時代に必要とされるマーケティングの対極にある。

早稲田大学のこの講座の名称が「デジタル時代のマーケティング」だったのも皮肉な話だ。

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