私の話なんてどうでもいいの?
さらにもう一つADHDの症状としてダイスケさんに強く出ていたのが「過集中」です。
何かに集中していると周りの音が全く聞こえなくなり、何時間でも没頭してしまう。
タチの悪いことに、過集中に話しかけたとしても、無意識にはっきりとした返事をします。
さっき返事をもらったはずの話が本人は全く記憶にない……。
「私の話はどうでもいいってことなのか……」と、自分がないがしろにされているような気分になってすごく落ち込みました。部屋が散らかるより、衝動買いでお金がなくなるより、これが一番辛かったです。
「障害だから仕方がない」そう必死で自分に言い聞かせても、納得できないことだらけでした。沖縄で唯一頼れるはずのダイスケさんが私の最大のストレス源になっていったのです。
毎日「今日は何も起こりませんように」と願い、気を張って過ごし、シャワーを浴びながら隠れて泣いていました。
ADHDと共存する覚悟ができた瞬間
ADHDについては全くの無知で、泣いてばかりの日々。
―― 一緒にいたいとお互いに思っているのに、どうして上手くいかないんだろう。
―― どうしたらADHDを持った夫と幸せに暮らせるのだろう。
「ADHDを詳しく知れば、何かヒントがあるかもしれない」と藁にもすがる思いで、ADHDという障害について調べることに。いくつものサイトを見て「ADHDの特性」をダイスケさんに当てはめてみると、気持ちいいくらいに全てがそのまんまで思わず笑いそうになりました。
障害だからできなくて仕方なかったんだ。
ダイスケさんは悪くない。私も悪くない。悪いのは障害だ。
このとき初めて「仕方がない」という言葉が腑に落ちました。ダイスケさんの嫌いなところは全てADHDの特性によるものでしたが、好きなところにもその特性によるものがあり、ADHDという障害を排除するのではなく、共存する覚悟ができたのです。
ADHDで困っているのはダイスケさんだけではなく、私だけでもなく、二人。二人の困りごとだから、二人のために二人で解決しよう、そう思うようになったのです。
2017年から夫婦で動画クリエーターとしての活動を開始。旅行・沖縄での日常・古民家暮らし・ファッション・車・バイクなど興味あることを発信中。中でもADHDである夫ダイスケさんとの夫婦の日常を紹介した動画の再生回数が400万回を超えるなど、注目を集めている。YouTubeチャンネルの登録者数は2チャンネル合計で31万人超え。
交際から合わせて約7年の間に起きたことや学んだことをADHDの当事者(夫)とパートナー(妻)それぞれの目線で激白。ADHDという障害に悩み、向き合い、乗り越えるまでのリアルな日常をマンガとともに紹介している。