2022.04.27

「女性は男性より幸福度が高い」「だから女性の支援は後回し」という議論の危うさ

適応的選好形成とは何か?

みなさんは世論調査に協力したことがありますか? 世論調査には生活の満足度や幸福度を問う質問があり、この調査結果は様々な社会政策に反映されています。

2018年度の調査によれば、現在の生活に対する満足度について、男性の72.9%、女性の76.3%が「満足」と回答し、男性の26.3%、女性の22.7%が「不満」と回答しました。この結果だけを見ると、多くの人は男性よりも女性の方が現在の生活に満足していると思うのではないでしょうか。

なお、過去の調査でも、生活に満足している人の割合は20代女性が最も高いことや、男性より女性の幸福感が高いことが報告されています。これ以外にも、多くの調査や研究において、女性は男性よりも生活の満足度や幸福度を高く回答する傾向があり、日本では一般的に女性は男性より生活満足度や幸福感が高いと認識されています。

〔PHOTO〕iStock
 

本当に、女性は男性より幸せなの?

では、本当に、女性は男性より幸せなのでしょうか?

日本の女性は生活上で多くの困難をかかえ、危機にさらされています。たとえば、家事と仕事の二重負担、家事や育児介護などの無償労働の偏り、男女間の賃金格差、企業や政治などの意思決定の場における女性の不在、ドメスティックバイオレンスや性犯罪被害など、あげだしたらきりがありません。このような状況と、女性は男性より幸福度や生活満足度が高いという調査結果は、あまり整合的ではないように見えます。

私たちは、幸福度の高い人は幸福度の低い人より条件のよい暮らしをしているのだろうと考えがちですが、実際のところ、常にそのようになっていると言えるのでしょうか。以下、幸福度調査や満足度調査にひそむ「落とし穴」について、説明したいと思います。

「幸福度」の落とし穴

幸福度や生活満足度による調査は政府統計でよく用いられていますが、この調査結果だけを見て、幸福度や満足度がより低い人の生活を改善させようと政策が進んだ場合、本当に必要な人に支援が届かなくなってしまう危険性がでてきます。

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