1400万部を超えた、創作集団・CLAMPの大ヒットコミック「xxxHOLiC 」が、初めて実写映画化された。

監督は蜷川実花さん。主演の神木隆之介さんと柴咲コウさんはじめ、松村北斗さん、玉城ティナさん、磯村勇斗さん、吉岡里帆さんら豪華な出演陣が名を連ねる。しかし実は映画完成までには10年の月日を要したという。蜷川実花さんにジャーナリストのなかのかおりさんがインタビューを実施。記事の前編では、完成まで10年の歩みや、キャストへの思いを紹介する(以下、映画版は「ホリック」コミックは「xxxHOLiC」と表記)。

Asmik Ace
あらすじ
人の心の闇に寄り憑く“アヤカシ”が視える孤独な高校生・四月一日(わたぬき・神木隆之介)。その能力を捨て普通の生活を送りたいと願う四月一日は、ある日、一羽の蝶に導かれ、不思議な【ミセ】にたどり着く。彼の願いを叶える対価として、“いちばん大切なもの”を差し出すよう囁く女主人・侑子(柴咲コウ)。同級生の百目鬼(どうめき・松村北斗)やひまわり(玉城ティナ)と出会い、“大切なもの”を探す四月一日に、“アヤカシ”の魔の手が迫る。
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構想から10年、セリフに導かれて

監督の蜷川実花さんと同い年の筆者は、初の監督作品『さくらん』(2007)や、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019)をリアルタイムで見ている。蜷川さんのライフワークである、パラアスリートの写真についても、何度かお話を伺った。映画版『ホリック xxxHOLiC』は、鮮やかなビジュアルと音楽に引き込まれながらも、見た後は心の傷が癒されるような温かい気持ちになった。

蜷川さんは、10年前に原作漫画を知る。「絵が好きだな」というのが第一印象だったという。読んでみると、「xxxHOLiC」の考え方に共感し、映画化したいという思いがすぐに生まれた。そこから公開まで10年、様々な試行錯誤があったという。

「圧倒的なビジュアルが魅力的で、 この作品を映像化するのは、私でありたい! と思いました。日本の映画の予算であの世界観を再現するのは難しいことはわかっていましたが、創意工夫で補えることもあるはずだと思って。私ならできる、他の人がやったら嫌だな、と思ったのがスタートです。

もちろん、原作の大ファンで侑子さんのセリフが特に好きですね。 映画の撮影中も、背中を押してもらっていました。ホリックの中の素敵なセリフは、自分たちの人生にも効いてくるんだなと実感し ながら作っていきました」

(c)2022映画「ホリック」製作委員会 (c)CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./講談社

CLAMPさんからも、「蜷川さんなら」と映画化を快諾された。映画は、蜷川さんの世界観でホリックが描かれている。

「光栄なことに、基本的には、お任せいただきました。まずは、原作から好きなセリフを書き出す作業から始めました 。ビジュアルを考えるのは得意なのと、信頼できる美術チームがいてくれるので、そこはあまり心配しませんでした。それより、この物語のテーマ性や何にひかれたかというところを大事にしたかったので、芯となる部分を捕まえるためにも必要な作業だったんです。何かあったらそこに戻れるように、原作を読みながら、気になった言葉に付箋をはって、その言葉をパソコンに打ち込んで、自分の中に入れて、しみこませました。普遍的なテーマを持った物語なので、古くならず、むしろ年月と共に重みを増しているように感じます」