2022.05.08
ふだんは優しい人が「あおり運転」「DV」「いじめ」をしてしまう心理学的理由
カギは「公私環境仮説」にありふだんの態度や言動からは想像もつかない人が、あおり運転をしたり、DVを繰り返したりすることがあります。「なんでだろう?」と不思議に思う人もいるでしょう。カギは「公私環境(領域)仮説」にあると言われています。『プロカウンセラーが教える他人の言葉をスルーする技術』(フォレスト出版)の著者で心理カウンセラーのみきいちたろうさんが、生きにくい時代の他人とのつき合い方について解説します。
自己啓発本を読むのは逆効果?
あなたは、自己啓発の本を読むとスッキリするけど、結局また元に戻ってしまう、なんてことはないでしょうか? その時は良い気がするけど、結局自分は変わらない。そして、それを繰り返してしまう。

自己啓発書で唱えられているような良い人間であろうと頑張ってみると、だんだん自分が苦しくなってしまうことも。
例えば、
・ポジティブに考えるように心がける。
・自分の感情は抑え、怒らないようにする。
・できるだけ、心を開いてオープンに人と接しようと努力する。
しかし、そうすればするほど、他人やその言葉に振り回され、傷ついたり、仕事でも努力に反した評価を受けたりしてしまうことが起きてしまいます。
そのうち、徐々に人間が怖くなり、嫌いになっていく自分に気がつくようになります。良い人間になろうと努力をしているのに目指すものと逆の結果になってしまう。
なぜ、こんなことが起きてしまうのでしょうか? それは、簡単に言えば、「前提」と「実際」のギャップが起きているからです。
自己啓発で語られることの多くにはある「前提」があります。
その前提とはなにかといえば、「人の言葉は大切だ」「人間とは立派なものである」といったものであり、「言葉は現実を作る」という考えです。この前提はもっともなことに見えますが、私たち人間の「実際」とかなり異なっているようなのです。