今もなお日本の音楽シーンを代表するシンガーソングライター、尾崎豊さんが26歳の若さでこの世を去ったのは1992年4月25日のこと。

没後30年を記念した今年、『OZAKI30LAST STAGE 尾崎豊展』が開催されています。3月の終わり、松屋銀座(4月25日現在は静岡伊勢丹で開催中)を訪れると、平日の昼間であるにもかかわらず、在りし日の尾崎さんを偲ぶ多くのファンの姿がありました。

会場には尾崎さんが幼少期から愛用していたアップライトピアノや学習机、最初に作ったデモテープなど、貴重な遺品の数々が。直筆の歌詞が書かれたノートや楽譜、衣装などに当時の息づかいを感じると同時に、これだけの量の遺品がきれいな状態で保管されていたという事実に驚かされます。年配のファンが多いかと思いきや、10代、20代とおぼしき男女も多く、皆一様に熱心に展示物に見入り、それぞれの想いをかみしめているようでした。

30年の時を経ても尚、色褪せることなく歌い継がれ、リアルタイムでは彼を知ることのなかった世代を含め、私たちの心を今も揺さぶり続ける尾崎豊さん。没後30年という区切りの年、尾崎豊さんの妻であり、歌手尾崎裕哉さんの母である尾崎繁美さんが、20数年の沈黙を破り、尾崎豊さんのこと、ご自身のこと、そして今だから話せる真実を、語り始めました。

『OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展』にて、地下鉄のコンコースに貼られたポスターの前で。写真提供/尾崎繁美
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※以下より、尾崎繁美さんのお話です。

大トリで息子が歌った『I LOVE YOU』

今年2月11日に放送されたテレビ朝日『ミュージックステーション』。目の前のテレビの中で、息子の裕哉が、『I LOVE YOU』を歌っていました。「ラブソングアーティストが選ぶ最強恋うたランキング」を発表する、3時間「恋うたスペシャル」で、そうそうたるメンバーの中、まさかの大トリで。裕哉から「今夜は『I LOVE YOU』を歌うよ」とは聞いていましたが、まさか大トリでの出演になるとは夢にも思わず、あまりの驚きと緊張で私は画面に見入ったまま、膝から崩れ落ちてしまいました。

豊が亡くなってから30年。『OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展』をひとつのゴールと定め、豊を支えた関係者たちの想いの集大成として準備を進めてきました。その大きな節目の年に、尾崎 豊の『I LOVE YOU』をアーティストの方々がラブソング第1位に選んで下さり、改めて30年の時を経ても豊の色褪せない凄さを感じています。またそれを息子が歌い継いでいる姿が言葉にできないほどの奇跡の瞬間でした。あまりの驚きで、ソファーにもたれて動けませんでした。

1年前の4月25日。『OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展』開催を見据え、29回目となる豊の命日から、私はインスタを始めました。最後のアルバム『放熱への証』からの一説であり、墓石の後ろにも刻んだ「生きること。それは日々を告白してゆくことだろう」という彼の言葉と共に。私の大切な秘密の宝石箱から、豊との思い出、愛と真実、豊と共に生きた証という宝物をそっと取り出し、ファンのみなさんと分け合うために。豊に愛された私が紡いた言葉で、豊自身を輝かせるために。そしてそれは同時に、私と豊との愛の日々を振り返る作業であり、私自身が今後、新たな人生を歩み始めるための布石でもありました。

埼玉にある尾崎豊さんの墓石。写真は、昨年の29回目の命日のときのもの。写真提供/尾崎繁美
墓石の後ろには、「生きること。それは日々を告白してゆくことだろう」と、最後のアルバムのテーマが刻まれている。写真提供/尾崎繁美