なぜ転職すると生涯賃金は下がってしまうのか…データでわかった「早期退職」の罠

早期退職時代のサバイバル術(前編)
転職すべきか、留まるべきか、どう変わればいいのか。大リストラ時代を生き残る術を豊富なデータで示した『早期退職時代のサバイバル術』(幻冬舎新書)から、そのエッセンスを紹介しよう。

日本人は平均して生涯に2度転職する

70歳まで働くことが当たり前になってきたとき、考えなければならないのが「転職」です。日本人は平均して生涯で2回程度しか転職しませんが、キャリアが長くなっていけばこの数も増えていくことでしょう。

早期退職募集に手を挙げる場合でも、ほとんどの人はそのまま引退するのではなく、他の企業に転職してキャリアを築いていきます。

例えば、65歳以上の高齢者が多い職業を国勢調査から抽出してみれば、農業従事者、居住施設・ビル等管理人、法人・団体役員、販売類似職業従事者(不動産仲介、保険代理人など)などが挙がっています。

シニアの職業の一般的なイメージと大体一致する結果でしょう。定年後や中高年になってから、こうした職業に移る人も多くなります。ビルメンテナンスの職場などを見ると60代でもまだ若いほうであることもよくあります。

逆に少ない職業を見てみると、工事現場や輸送・検査の現場系職業など、夜勤や交替制の職業が挙がっています。体力や身体能力の面から業務遂行が難しく、定年後はこうした職業では働かないことが慣習になっているようです。また、事務系の職種も高齢者比率が低くなっており、若い人で占められています。

Photo by GettyImagesPhoto by GettyImages

中高年になってから転職を考えるとき、まず気になるのはやはり生活維持に直結する転職後の「お金」のことでしょう。

 

単純に企業からの年収のことだけを言うならば、転職者は生涯年収が下がる傾向にあります。生涯年収のことだけを考えるならば、転職しないほうが高くなる傾向にあることは、歴然とした事実です。

中高年の転職は増えてきましたし、中高年転職を主に扱う転職サービスも増えてきましたが、そのことと給与はまた別の問題です。

もちろん転職しても年収を維持・上げる人がいないわけではありませんが、多くの人のリアルとしては押さえておくべきでしょう。

しかし、すでに今の会社に愛想を尽かしていたり、上司との関係が修復不可能になっていたり、自社で早期退職募集がかかっていたりするなど、年収以外にも転職を考えるきっかけは多く存在します。

関連記事