もしも、「まさか自分が妊娠・出産するはずはない」と考えていた、バリバリ仕事ができるモテる人が妊娠したらどうなるのだろう。そして、その相手はどのように感じ、行動するのだろう。そしてそれが女性ではなく男性だったら……斎藤工さんと上野樹里さんが出演するNetflixシリーズ『ヒヤマケンタロウの妊娠』はその「もしも」の世界を描いたドラマだ。「まさか自分が」は女性だって普通にあること。それが入れ替わって描かれることで、新しい景色が見えてくる。

「ヒヤマケンタロウの妊娠」本予告編 - Netflix 

斎藤工さんが演じるのは、効率を最も重視する仕事のできる広告マン・桧山健太郎。上野樹里さんが演じるのは、桧山の何人かの女友達の中でも距離感も仕事への取り組みも含めて互いに相性がいいと感じているフリーライターの亜季だ。桧山が「まさか」妊娠し、逆算して亜季がその相手だとわかった。仕事を大切にしている二人は、自分たちの人生に「妊娠・出産・育児」というキーワードが関係ないと思っていたようだが…。

配信開始を記念した対談の前編「斎藤工と上野樹里が「すべての男性が妊娠しうる世界」で考えた妊娠出産の当事者意識」では、「妊娠・出産が仕事の壁になりうる」と思われがちな現状についての率直な意見も語っていただいた。後編では、「パートナー」の関係性について語っていただく。

撮影/山本倫子
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「まさか」に直面した時、自分の本性が明るみに出る

──斎藤さんのご両親にとって、子どもの存在は、仕事をするうえでキャリアを断絶するものだという感覚が一切なかったとおっしゃっていましたね。とても素敵なことだと思います。一方で、桧山は、予想外の妊娠を簡単に受け止められません。医師から、妊娠していると言われた時の表情が、とても印象的でした。

斎藤 桧山の場合は、"受け止めない"という、受け止め方だったんじゃないか、と思っています(笑)。自分だけは大丈夫だと思っているところに、何かが宿るという事例は、これまでも何度か見てきたし、僕も心あたりがあります。自分の人生を振り返っただけでも、たくさんの「まさか」に遭遇しています。そして、その「まさか」に直面した時、自分の本性が明るみに出ます

ドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』より(c)坂井恵理・講談社/(c)テレビ東京

桧山はこれまで、摩擦を回避しスマートな生き方を徹底してきましたが、妊娠によって、本質がそこにはなかったこと、自分が認めたくない自分の本質に気づきます。でも、それを覆してくれるのが、彼自身に宿った、尊い、奇跡のようなものだったりもする──。そのグラデーションは、意識して出していきたいと思いました。いや、僕個人で表現するというより、亜季を演じる上野さんをはじめ、共演の方々と化学反応によって、作らせてもらったという感じでしょうか。

上野 亜季はドライな性格で、大変な状況の桧山に寄り添ってあげることがなかなかできません。ただ、お互い余裕がなく、自分のことで精一杯で、軽い付き合いをしていたふたりでしたが、包み隠さず、なんでも話せる間柄ではあるんですよね。そういった関係性は素敵だなと思います。