「妊娠・出産」とSNSで検索すると、こんな言葉が続々と出てくる。
「夫が指示待ちで辛い」
「子を産んだら母親は自動的に母親になるなんてありえない」
「なんで当事者意識を持ってくれないの」

では、すべての男性が     妊娠しうる世界だったらどうなるのだろうか。

斎藤工さんと上野樹里さんが出演するNetflixシリーズ『ヒヤマケンタロウの妊娠』の舞台は、すべての男性が妊娠するようになってから約50年が過ぎた世界。時として、男性も妊娠・出産をする可能性があるものの、まだまだ圧倒的にマイノリティだ。そんななか、“スマートに生きる”ことを信条とし、仕事もできればモテまくる広告代理店勤務の桧山健太郎(斎藤工)は、特定の恋人も作らず人生を謳歌していたが、ある日、自分が妊娠していることを知る。

カレンダーをたどっていくと、相手はフリーライターの亜季(上野樹里)のようだ。仕事に野心を燃やし、結婚や出産は二の次と考えていた彼女も、桧山の妊娠を知り戸惑いを隠せない。紆余曲折を経て、子どもを産むことを決めるが、男性である桧山の妊娠により、ふたりは、世にはびこるジェンダーをめぐる固定観念、それまで自身とは遠いところにあった、さまざまな社会問題に直面する──。

「ヒヤマケンタロウの妊娠」本予告編 - Netflix 

坂井恵理さんによる漫画が原作の本作は、漫画刊行時から「よくぞ描いてくれた」と多くの声が寄せられていた。斎藤工さん、上野樹里さんは、男性妊娠の世界をどう生き、本作を通して、何を感じたのだろうか。

撮影/山本倫子
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決して荒唐無稽な話ではない

──まず、「男性が妊娠する」という設定を聞いた時の感想を教えてください。

斎藤 男性の妊娠をテーマにした作品は、これまでもジャック・ドゥミ監督の『モン・パリ』や、アーノルド・シュワルツェネッガーさん主演の『ジュニア』などがあり、今回、桧山を演じるにあたり、改めて見直しました。

また、僕は昆虫の生態系を学んだことがあるんです。昆虫の性特定の仕組みはさまざまですが、基本的に細胞レベルによって性別が決定すると言われています。そのことについて、僕は、男という性をあまり必要とせず、種の存続というミッションのために進化していったのだと、自分なりの仮説を立てていました。そういったこともあって、ついに人間もそうなったか、もしかしたら本当の話なのかもしれないと、ネットを検索しながら原作を読みました。実際に、トランスジェンダーの男性が妊娠したという事象もあります。決して荒唐無稽な話ではないと思います。

ドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』より(c)坂井恵理・講談社/(c)テレビ東京

上野 原作は10年ほど前に描かれていますが、今の時代を象徴するような新しさを感じました。今やるべき作品だと思います。男性が妊娠を体験する姿を通して、出産や子育ての大変さを、男性に身をもってわかってもらえると、喜んでくださるお母さんたちも多いと思います 。ぜひカップルやご夫婦で観ていただきたいです。もちろんおひとりで観ても、考えさせられる部分は多いと思います。