2022.04.22

『FGO』『天気の子』『進撃の巨人』…サブカルを神話から読み解くと何が見える?

『すごい神話』の著者に聞く

ゲームやアニメ、マンガには神話に由来するキャラクターやアイテム、モチーフが頻出する。あるいは物語の構造が神話に類似したものや、神話の構造を参照した作られた作品もある。本職の神話学者にはそれらはいったいどのように見えていて、どう解釈するのか――『Fate/Grand Order』(FGO)や『天気の子』『進撃の巨人』『パズドラ』(『パズル&ドラゴンズ』)などを読み解いた『すごい神話 現代人のための神話学53講』(新潮選書)を著した沖田瑞穂氏に訊いた。

[PHOTO]iStock
 

ゲームの影響で妙に神話に詳しい学生が増えてきた

――『すごい神話』ではさまざまなサブカルチャー作品が神話という視点から取り上げられていますが、どういう経緯でこういう試みを?

沖田 私はマンガやゲームが禁止だった家庭に育ちましたので、もともとサブカルチャーに詳しかったわけではありません。

しかし大学で神話について講義するなかで、数年前から学生が神話のことに妙に詳しくなっているな、と気付いたんですね。かつてはあまり知られていないと思っていた北欧神話に登場するラグナロクやユグドラシル、あるいはインドの『マハーバーラタ』に出てくるアルジュナ、カルナなどの話をすると「わー、出て来た」という反応になってきたんですね。

学生に聞いてみると「ゲームに出てくるんです」と。並行してやはり数年前にTwitterを始めたことをきっかけに、ゲーム好きのフォロワーから『FGO』の存在を教えてもらい、ゲームに疎いながらも自分でプレイしてみて「神話の要素が出てくるおもしろい作品だな」と感じました。

私の講義の受講者からはゲームやアニメ、マンガを神話への入口として「原典の『マハーバーラタ』ではアルジュナやカルナがどう表現されているのか」といったことに興味を持ってくれる人も出て来ましたから、そういう書き方をすればたくさんの人が神話に関心を抱いてくれるでは、と考えたのです。

私はインド神話が専門ですが、たとえば印度学や仏教の専門家はひとつの文献、ひとつの節、ひとつの文を徹底的に読み込むような研究をします。一方、神話学者は「比較」によって初めてわかることがあると考えます。ですからインドとギリシャ、インドと日本の神話などを比較してきました。比較対象は地域だけでなく時間も超えます。ですから私は古い神話と現代日本の新しい創作、フィクションを比較しているわけです。

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