みなさん、こんにちは。小児科医の今西洋介といいます。

赤ちゃんから思春期まで幅広い守備範囲の広い小児科の中で、赤ちゃんを専門とした新生児科という専門で仕事をしています。周産期医療漫画『コウノドリ』の医療監修もしていました(編集部注:ドラマで大森南朋さんが演じた新生児科医「今橋貴之」のモデルになったのが今西さんです)。新生児科医という立場から赤ちゃんにまつわる、さまざまなお話を月イチでお伝えしていきたいと思います。

ドラマ『コウノドリ』の撮影現場で、俳優の大森南朋さんとツーショットで撮った写真。写真/ドラマ『コウノドリ』公式Instagramより
-AD-

出産は、果たして安全なのか?

漫画『コウノドリ』では「出産は奇跡」というワードがよく出てきました。

(C)鈴ノ木ユウ/講談社『コウノドリ』第3巻. Track8 喫煙妊婦(後編)より

「出産は安全で、赤ちゃんはみな元気に産まれてくる」

これはお産に関して世間一般に思われている事です。しかし、新生児科側からすると、これには誤解があります。確かに日本では赤ちゃんが亡くなることは大変少なく、多くの赤ちゃんが元気に産まれます。

生まれてくる赤ちゃんがどれだけ亡くなってしまうかを表す指標として新生児死亡率がありますが、日本は世界トップの低さです。下記の表を見てください。欧米諸国と比べてもダントツに低いことがわかると思います。

「出生体重1500g以下の症例数と死亡率の国際比較」を示した図。日本(NRNJ:Neonatal Research Network Japan/特定NPO法人新生児臨床研究ネットワーク)は右下。症例数が多いにも関わらず死亡率が他国に比べ群を抜いて低い。(出典※1)

これには様々な要因があると言われていますが、産科の先生の御尽力による胎児診断の発達、欧米諸国が積極的に助けてこなかった未熟な早産児を1990年代から助けていたこと、母子保健が戦後著しく発展したこと等が挙げられます。

言い換えれば、「赤ちゃんが世界で一番安全に産まれてくる国」と言うことになるわけです。実際にユニセフ(国際連合児童基金)のレポートにも、日本の新生児医療体制をお手本にすべきと世界中におすすめしています(※2)。