日本企業をダメにする「PL脳」。その犠牲になるのは若手社員たちだ

株主は強欲だと言う前に社長が知るべきこと
現在までのおよそ30年間で、アメリカの株価は14倍にもなったのに、日本の株価はゼロ成長。なぜこんなに大きな差がついたのか。その原因の一つは、日本企業で働く人に「ファイナンス」の概念が定着していないことだと、スタートアップ投資家の朝倉祐介氏は力説する。ファイナンスの思考が、なぜ私たちに必要なのか? 朝倉氏の新刊『ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略』から抜粋してお伝えする。日本企業によく見られる問題だと朝倉氏が指摘するのが「PL脳」。今回はその後編だ(前編はこちら)。

PL脳の問題点2――資本コストの軽視

「PL脳」によって軽視される2つ目の要素が「資本コスト」です。「うちは無借金だから健全経営です」「黒字だから何も問題ありません」といった発言は、資本コストの軽視を象徴するフレーズです。

商品を製造するのに必要な原材料を買うためにお金がかかることを不思議に思う人はいないでしょう。その原材料の仕入れ値よりも高い値段で商品を売らないことには、会社は利益を上げることができません。

同様に、会社が必要な資金を調達することにもお金がかかります。この資金調達にかかるお金のことを「資本コスト」と呼びます。原材料と同様、会社は調達したお金をより多く増やす必要があるのです。

個人の例で考えてみましょう。たとえばここに、100万円で買える年利5%の金融商品があったとします。ゼロ金利時代の今、年利5%という水準は魅力的に感じられますし、是非買ってみたいとあなたが思ったとしましょう。ただこの時、手元に余裕のある資金がなかったとしたら、あなたはどうするでしょうか。対応策としては2つあります。一つは諦めること、もう一つはお金を借りてきて、その借りてきたお金で金融商品を買うことです。

 

仮に銀行が年利10%であなたに100万円を貸してくれるとしましょう。この時、あなたはこの条件でお金を借りて、年利5%の金融商品100万円分を買うでしょうか? 考えるまでもなく、こんなことはしないはずです。

仮にこの条件でお金を借りてこの金融商品を買ったとしたら、年利5%なので、翌年には105万円が手元に戻ってきます。これだけを見るとお金が増えるように感じるかもしれませんが、年利10%なので銀行に110万円を返さなくてはいけません。105万円-110万円で、5万円を失うことになります。絶対に損する非合理な経済条件だということは誰にでもわかることでしょう。

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