aikoについて、どんなイメージをお持ちだろうか。筆者は40代男性だが、aikoファン以外の40代男性からすると、「『カブトムシ』と『花火』とテトラポットの歌(『ボーイフレンド』)くらいは知ってる」「恋愛ソングしか歌わない女性シンガー」あたりが、ごく一般的な認識であるように思う。

1999年発売のシングル「カブトムシ」のジャケット写真

しかし、聞けばaikoのライブには約3割も男性がいるという。女子目線の恋愛ソングしか歌わないのに、だ。ちなみに男性芸能人にaikoファンは少なくないが、そこには織田信成や川谷絵音も含まれる。なんだこの振れ幅は。

aikoには、ある種の男たちを吸引する何かがあるのではないか。それは大きく2つあると筆者は考える。

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aikoはまったく変わらない

ひとつ目は「変わらなさ」。これは、aikoと同年の1998年にデビューした椎名林檎や宇多田ヒカルと比べるとよく分かる。

林檎はこの20数年、病んだ文学少女的なイメージ、バンド活動、アダルトな大人の色香推し、国威発揚ソングなど、時代に合わせて作風を変幻自在に変化させてきた。宇多田は宇多田で、年を重ねライフステージが変わるごとに歌詞に内省の奥行きが増し、達観も進行している。

しかし、aikoはまったく変わらない。「好きな人が/彼氏が/元カレが、愛しい」ということを、四季折々、多種多様なシチュエーションで四半世紀ずっと歌い続けている。どんな場所で何を見ても、全部に恋愛というスパイスを振りかけ、「彼が好き」という結論に持っていく。どんな料理にもカレー粉を入れてカレーにしてしまうがごとし。

aikoはインタビューで「バンドとかユニットを組みたいと思ったことは今までも一度もない」「(デビューから)16年経った今でも、曲や詞の書き方はほとんど変わってません」(『別冊カドカワ』「総力特集aiko」2014年)と発言している。「変わらない」ことは彼女のアイデンティティでもあるのだ。

aikoは見た目も変わらない。試しにaikoを画像検索してみてほしい。ファン以外には、その写真が2000年のaikoなのか2010年のaikoなのか2020年のaikoなのか、分からないだろう。エイジレスな見た目。基本、青文字系カジュアル。基本、前髪重めだ。

2022年4月27日発売のシングル「ねがう夜」初回限定仕様盤のジャケット写真