東大卒の才女として様々なメディアで活躍する山口真由さん。恐れるものなどなにもないようにも見える華やかな経歴を持つが、新人時代は心を負傷することもしばしばだったと言う。アフリカのことわざ“The axe forgets, but the tree remembers”(斧は忘れる、しかしながら、木は覚えている)になぞらえれば、自分は傷つけられて痛みを忘れられない「木」側の人間だと感じていた山口さんだが、ある日仕事で出会った女性プロデューサーとの会話で、考え方に変化が起きたという。

前編【東大卒・山口真由が振り返る、些細なことに傷いてばかりいた「新人時代」】から続くで後編です。

「斧」側の人間にもなりうる

「テレビの業界って職人気質で、最初の頃は挨拶をしても無視された。仕事のことを聞いてもそっけない。で、男性スタッフだけで仕事終わりに飲みに行ってみんなでわいわいと盛り上がって、なんとなくはじかれてる空気があるのよ」

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彼女もマイノリティとしての経験を積み重ねてきたのだ。洗練された外見への気後れが、急激に親近感に変わる。

そこで、私は彼女に“斧”と“木”の話を打ち明けた。

「うんうん、わかるわ。私も人の何倍も努力して、ようやくうまくいった仕事で『やっぱり女は得だね』って言われたときのこと、今でも覚えてる。向こうは忘れてるかもしれないけど、今でも覚えてるものね」

だが、その後、彼女はこうも言ったのだ。

「でもね、山口さん。私が最近恐れてるのは、“木”として傷つくことじゃなくて、むしろ知らぬ間に“斧”として傷つける側にまわっていること。ちょっと台本に気を取られているだけでも、新人の挨拶を無視してるように見えるかもしれない。何気ない一言がまわりにとっては重く響く立場になっていくのよ、私たち」