円安は1ドル=130~135円も視野に…「値上げラッシュ」と「国富の流出」はいつまで続く?

急激な円安がとまらない。先週の外為市場では、円が2度にわたって約20年ぶりという安値の更新を繰り返した。

エコノミストたちの間では、今後数週間程度のリスクとして、1ドル=130~135円が視野に入ってきたとの見方も少なくない。

円安は、交易条件を悪化させて、輸入物価を押し上げる。原材料費の高騰が企業収益を圧迫するだけでなく、食品や衣料品、電気代などの値上げに直結して、伸びない実質賃金とのダブルパンチで家計を窮地に追い込む側面もある。

今週は、円安が何を引き起こしているのか、この円安は歴史的にみてどういう水準にあるのか、物価の番人であるべき日銀はこの円安とどう向き合っているのか、そして、今後円安はいつまで続くのか――を考えてみたい。

止まらない円安…/photo by iStock

企業も消費者もデメリットばかり

まずは円安がどういう問題を引き起こしているのかおさらいしておこう。

最初に挙げられるのが、輸入物価上昇の主因のひとつになっている点だ。輸入物価 の押し上げには、世界経済が新型コロナウイルスのパンデミックからの回復軌道に向かい需要が戻り始めたこと、ロシア軍のウクライナ侵攻によって穀物、化石燃料、資源などの価格を押し上げたり、世界的な物流の混乱に拍車をかけたりしていることが影響しているが、それに加えて、この円安が主要な要因となっている。

例えば、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長は先週木曜日(4月14日)の決算発表の席で、「円安のメリットは全くありません。日本は世界中から原材料を仕入れて、加工して付加価値をつけて売るっていう、そういう業務をやっているんですよ。その中で自国の通貨が安く評価されるっていうことは、決してプラスにはならない」と述べた。

そのうえで、「日本全体からみたらデメリットばかりだ」と強調。ユニクロなどの商品全体の値上げについても「今の日本の経済情勢から考えると、安易な値上げはできない」と慎重な姿勢を示しつつも、原材料費や輸送コストの高騰が続けば「今の価格で売るのは不可能」だと、苦しい胸の内を明かしている。

 

確かに、暮らしへの影響は深刻だ。5月の東京電力ホールディングスの電気料金は、平均的な世帯で8505円と1年前に比べて25%上昇することになっている。

しかし、電気料金の値上がりはこれで終わりにはならない。というのは、燃料費の上昇が3~5ヵ月後の料金に反映される仕組みになっており、足元の円安がこの夏以降の光熱費をさらに押し上げる要因になるからだ。つまり、まだまだ電気料金が上がることは決定的なのである。

日本のCPI(消費者物価指数)は、生活実感ほど上がって来なかった。これは、去年の携帯電話の通信料金の値下げ効果が大きな要因だ。

ところが今月から、この効果がなくなるため、資源高などの影響が反映しやすくなり、上昇ペースが大きくなるとの見方がある。

輸入物価の上昇に伴う諸物価の値上がりに圧迫されるのは、企業収益だけではない。賃上げのペースを一段と鈍らせて、実質所得を減らしかねないうえに、物価高が家計を圧迫して個人消費をさらに冷え込ませる懸念もある。

 
この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら
SPONSORED