習近平が進める「デジタル・チャイナ」政策の“凄すぎる実態”…実は日本よりも規制が緩いことも

デジタル技術で効率化を図り、マンパワーも活用して新型コロナの抑え込みに成功した中国は2020年の実質経済成長率が2.2%と、主要国の中では唯一のプラス成長となった。

コロナ禍以降、中国と日本は簡単に行き来できなくなり、現地の様子は日本人に伝わりづらくなってしまったが、この間も中国経済は変化を遂げている。

その知られざる変貌を描いた『数字中国(デジタル・チャイナ) コロナ後の「新経済」』 (中公新書ラクレ)を著した北京在住歴20年の経済学者である西村友作・中国対外経済貿易大学国際経済研究院教授に中国経済がめざすものと日本への示唆を訊いた。

[PHOTO]iStock
 

基礎研究投資を増やし始めた中国

――危機で成長エンジンに不具合が生じた際に「投資」に力を入れてきた中国は、新型コロナウイルス禍の経済対策として5G基地局、AI、ビッグデータ・センターなど新型インフラ建設を大きな柱としており、政府がいま国をあげて進めているのがこれらを含む「数字中国」(デジタル・チャイナ)政策であると西村先生の本にありました。「デジタル」と言っても、いわゆるBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)が台頭してきたころとはまた違うのでしょうか。

西村 新型コロナ前とは随分変わってきています。AI技術の精度が高まり、AIを活用したビジネスがより幅広く普及してきたことが背景にあります。もともとそうした基盤、方向性はありましたが、新型コロナウイルス危機が後押ししてさらにデジタル化にも拍車をかけました。

――中国政府が掲げる第14次五ヵ年計画では、社会全体における研究開発費を年平均7%以上増やすとしたうえで、基礎研究比率を総額の8%以上にまで高める目標を掲げているそうですね。税制優遇などで企業にインセンティブを与え、技術者の育成や外国人専門家の招致にも力を入れて基礎研究分野に積極的にお金を投じていく、と。基礎研究が弱体化していく日本とは真逆で、うらやましく感じました。

西村 アメリカなどは0から1を生み出すような基礎研究を得意としてきて、そこからインターネットなども生まれてきました。対して中国は「1を10にする」タイプの社会実装型イノベーション、既存のものの組み合わせで新しいものをつくる応用研究が得意でした。しかし近年ではそれに加えて中長期的な国際競争力強化のために、次世代AIや量子情報、バイオ技術などの基礎研究に力を入れるようになってきています。

――米中貿易摩擦とデジタル・チャイナ政策にも関係があるのでしょうか。

西村 さまざまな分野で標準化をめぐる競争があり、ルールは国際的に決められていきますから、中国としてはいち早く次の技術に関する世界的なイニシアチブを取りたいことは間違いありません。

また、ロシアによるウクライナ侵攻に対するSWIFT制裁で顕在化しましたが、ドル一強体制下では有事の際に国際金融取引を押さえられると大きなダメージになります。だからこそデジタル人民元など新しい金融技術にも力を入れ、人民元の国際化を進めている部分もあると思います。

SPONSORED