上海とコロナと権力闘争…中国総書記「異例の3期目続投」目前に吹き始めた逆風

「政変の風」は、いつも上海から

上海からの政変

中国では、「政変の風」は、いつも上海から吹いて来る。

そもそも、いま中国で「主」に収まっている中国共産党にしても、100年ほど前の1921年7月に、当時の「抵抗勢力」として、上海で産声を上げた。1949年10月に新中国を建国してからも、1966年5月から丸10年にわたって吹き荒れた文化大革命は、その前年11月に『文匯報』(ぶんわいほう=上海の主要紙)に載った社説からのろしが上がった。

1989年6月の天安門事件は北京が「主戦場」だったけれども、直後に上海市の党委書記(市トップ)だった江沢民が、異例の3段飛びで党中央総書記(共産党トップ)に就き、やはり北京では「上海からの政変」と言われた。続く胡錦濤時代の2006年9月には、今度は上海市党委書記だった陳良宇が、北京出張中に身柄を拘束されて失脚するという事件が起こった。

Gettyimages

いまの強権的な習近平政権になってからも、「中南海」(北京の最高幹部の職住地)の度肝を抜くようなことが上海で行われてきた。例えば、2018年に米ドナルド・トランプ政権との「貿易戦争」が勃発すると、「墨汁事件」が起きた。

上海在住のOL・董瑶瓊氏(当時29歳)が、路上に掲げられた習近平主席の顔写真に墨汁を振りかけ、「習近平の独裁に反対!」と叫んだ動画をアップした事件だ。董嬢はたちまち精神病院に押し込められてしまったが、中国全土に大きな衝撃を与えた。

そして、年の後半に第20回中国共産党大会を控えた今年である。上海人はビジネスなどで、欧米を始めとした海外を見ている人が多いので、その一部は強権的な習近平政権に不満たらたらである。このまますんなりと、習近平総書記の異例の3期目続投を許すのはいかがなものかと考えている。

 

中国もいま、新型コロナウイルスとウクライナ戦争という「2つの危機」に揺れている。ウクライナ戦争に関しては、ウラジーミル・プーチン政権との「強固な紐帯」を外交の主軸に据えてきた習近平政権に対する国民の不満が、沸々と起こっている。だが今週は、もう一方のコロナが与える影響に限って論じることにする。

習近平政権のコロナ対策は、極端な「封城」(ロックダウン)と、全市民へのPCR検査などからなる「清零政策」(ゼロコロナ政策)である。これは、2020年1月に湖北省の省都・武漢を封鎖して以来、基本的に変わっていない。

習政権はコロナウイルスを、まるで新疆ウイグル自治区の分離独立派のように見なしている。そのため、あくまでも「殲滅作戦」で臨み、「コロナとの共存」など考えない。それで、中国最大の経済都市・上海の2500万市民の間では、「そんなことをいつまでもやっていては経済活動に大きな損失を与える」として、不満が燻っているのだ。

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