習近平が“ほくそ笑む”…「プーチンの敗北」でこれから日本に起こる「ヤバすぎる現実」

3月末に、キーウ周辺からロシア軍が撤退を始めたと報じられたが、その一方でロシア軍によるウクライナ民間人への虐殺行為はいまだ続いている。

この状況から、プーチンの言う「中立」や「非軍事化」は、ウクライナに対して、NATO加盟を諦めさせ、ロシア軍をウクライナに駐屯させる意味であることを前編記事『ロシア軍「キーウ撤退」の罠…プーチンがこれから仕掛ける「危ないシナリオ」』で指摘した。

このまま戦争が続けば、当然その脅威が各国へ及ぶ懸念もある。とりわけ日本は、中国の動きを警戒せざるを得ない。プーチンの侵攻を教訓に、もしも習近平が台湾侵攻を企てた場合、一体どんな現実が待ち受けているのか。

元外交官で、現在はキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦氏、中東・イスラーム地域研究、国際関係史を研究する山内昌之氏、自衛隊の元統合幕僚長の河野克俊、三人の有識者が予測した。

習近平は台湾を獲るか

山内:今回ロシアが非常識な暴挙に出たのは、アメリカやEU諸国の首脳たちの誤った「サイン」のせいもあるでしょう。プーチンは、オバマ以来の物いわぬアメリカの反応を見て、これなら少々の政治攻勢や領土侵略に出ても本格的に反撃されないと踏んだわけです。

アメリカは、オバマ政権時代の'13年にシリアで化学兵器が使われても、経済制裁はともかく武力行使を避けました。'90年代以降の第一次・二次チェチェン戦争でも、プーチンは大量殺戮と都市破壊の限りを尽くしたのに、欧米や日本は無関心でした。同じことが今、ウクライナで起きている。

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さらに重大なミスは、'97年にロシアをG8に迎えたことでした。欧米は冷戦終結とソ連解体で「ロシアは共産党による権威主義的独裁体制から脱し、民主化された」と誤認したのです。本質的にはロシアは、権威主義的レジーム(体制)を変革していなかったのに。

宮家:ウクライナ戦争が過去の危機と異なるのは、これまでロシアは物事を動かそうとするときには代理戦争に徹していたのに、ここへきて直接戦争も辞さない態度に変わっているという点です。

これはアメリカ、中国、ロシアの力関係が変動しているためです。アメリカが中国を牽制するために、インド太平洋地域に軸足を移している。欧州が手薄になった今こそ、既存の秩序をひっくり返す絶好のチャンスだとプーチンは考えたのでしょう。

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