今やLGBTQというワードは広く知られ、ジェンダーロールにとらわれない多様なあり方を認めることは、現代社会において必須の課題だ。

教育現場でも、LGBTQへの理解を深めることが求められており、近年ではセクシュアル・マイノリティをテーマにした児童文学を描く作家も登場している。

女の子になりたい男子中学生が女声の覆面アイドルとして活躍する『カエルの歌姫』や、同性の幼馴染に恋をした少年のひそかな願いが現実となる『シンデレラウミウシの彼女』などを発表してきた作家・如月かずささんもその一人だ。

如月さんが、LGBTQの「Q」=クエスチョニングをテーマに描いた新作『スペシャルQトなぼくら』刊行に寄せて、「性別にそぐわないと思われがちな趣味」を抱え窮屈さを感じていた子ども時代や、創作活動を通して手放すことのできた「後ろめたさ」について明かしてくれた。

-AD-

ピンクではなく水色の下敷きを選んだ

中学生のころ、近所の文房具店でファンシーなポケモンの下敷きを見つけたことがありました。色はふんわりしたピンクと水色の2種類。私がより心を惹かれたのはピンク色のほうでした。けれど最終的に私が選んだのは、ピンクではなく水色の下敷きでした。

小さいころから、かわいいものやきれいなものが好きでした。特撮番組の格好良いヒーローに憧れる一方で、シルバニアファミリーの人形などで遊ぶのも好きでしたし、アニメやゲームのかわいらしいキャラクタの絵を好んで描いたりもしていました。きらきらした宝石やアクセサリにも魅力を感じていました。

Photo by iStock

しかしいつのころからか、だれにたしなめられたわけでもなく、男のくせにかわいいものやきれいなものが好きなのはおかしいのではないかと思いはじめ、そうした趣味をあまりおおっぴらにはしなくなりました。

というと当時の私を知る友人からは、「いや、学校でも平気でファンシーな文房具を使っていたし、カラオケでも女性ボーカルの曲をノリノリでかわいく歌おうとしてたよね?」と突っこまれるかもしれません。

ですが本人のなかでは一応「ここまではセーフ」という線引きがあって、それを越えてしまわないように、いつも気を遣っていたのです。そのせいで、ほんとうにほしかったピンク色ではなく、水色の下敷きを選んだりしていたのでした。