※本記事では、国連の定義にもとづき、身体の統合性と性的自己決定を侵害するものを「性暴力」と表現しています。

先月、映画監督で俳優の榊英雄による俳優への性暴力被害の告発が「週刊文春」(2022年3月17日号)に報じられたのを契機に、いま、映像業界でさまざまな#MeTooの声が上がっている。『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』など数々の人気ドラマのプロデュースを手掛けてきた佐野亜裕美さんもその一人だ。

佐野さんは自身のツイッターに、2年ほど前にFacebookに友人限定で公開した投稿のスクリーンショットを上げた。そこに綴られていたのは、過去に仕事関係者から受けた性暴力を「なかったこと」にした自責の思い。

ツイートはまたたく間に拡散され、大きな反響を呼んだ。さまざまな反応を受けて、佐野さんには大きな学びがあったという。

佐野 亜裕美 プロフィール
1982年生まれ。東京大学卒業後、2006年にTBSテレビ入社。『王様のブランチ』を経て2009年にドラマ制作に異動し、『潜入探偵トカゲ』『刑事のまなざし』『ウロボロス この愛こそ、正義。』『おかしの家』『99.9 刑事専門弁護士』『カルテット』『この世界の片隅に』などをプロデュース。2020年6月に関西テレビに転職し、『大豆田とわ子と三人の元夫』を担当。現在はNHKの土曜ドラマ『17才の帝国』を準備中。

※以下、佐野亜裕美さんによる寄稿。

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25歳のときに受けた性暴力を15年経って告白した思い

新卒でテレビ局に入社して16年。一昨年転職し勤める局は変わったものの、相変わらずテレビの制作現場で働いており、現在はドラマのプロデューサーをしています。

先日、25歳のときに受けた性暴力についてTwitterに投稿したところ、大きな反響を受けました。

佐野さんのツイート

そもそもこれは2年前にFacebookの友人限定に投稿したものです。それをなぜいま改めてTwitterで多くの人に向けて投稿したかというと、ここのところ日本の映像業界におけるさまざまなハラスメントについての記事を目にすることが多くなり、被害者としても加害者としても自分とは切り離せない問題であると思ったからでした。
まずは以下にその内容を紹介します。

※セクシャルハラスメントに関する具体的な描写がありますのでご注意ください。

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テレビ局に入社して2年目、25歳の時、ようやく念願かなってドラマ制作部に異動になった。一番下の助監督として初めて入った番組で歓迎会を開いてもらい、六本木の居酒屋でかなり長いこと皆で飲み、先輩の助監督が二軒目に行くというので、かなり酔っ払っていたけどついていき、ラーメンにも付き合い、三軒目はその先輩と私と二人きりになっていた。

酔っていたし疲れていたし帰りたかったけど、新人だしドラマの礼儀とか慣習とかわからないし、がんばって付き合わなきゃと気合いで笑っていたのをよく覚えている。

よしじゃあもう一軒と言われ、ふらふらの中なぜかタクシーに乗せられ、着いた先はラブホテルの前だった。嘘だろ?と思った。入ったばかりの新人でも、美人でも可愛くもない。入社早々に結婚したので既婚者だったし、なぜ私が? とびっくりした。