ここにきて「カワサキ」の中型バイクが絶好調…ほかのメーカーと一体なにが違うのか?
桐野英子社長に聞く近年、カワサキのバイクの国内販売が好調だ。'18年〜'20年にかけ251cc以上の市場でシェアNO.1に躍り出るなど、人気を集めている。販売会社・カワサキモータースジャパンの桐野英子社長は「血管にガソリンが流れている」と自称する筋金入りのライダーだ。
「私はマシンが好きなんだ」
カワサキのバイクが人気の理由は、ズバリ、開発者たちに愛があるからです。
私はZ900RSというバイクの開発に携わった時、開発陣に「完成したら買おうよ!」とハッパをかけました。何をやっても80点とれる優等生のバイクじゃなく、技術者がそれぞれ、自分の考えでいいから徹底的にこだわろうよ、という意味です。
そして、我々はそんな個性の強いバイクをつくってきたからこそ、多くのユーザーから「こいつに惚れた」と言ってもらえ、いつしか「漢・カワサキ」というブランドイメージで語られるようになったんです。
私が活発になったのは厳しい家庭で育った反動かもしれません。高校生の時、どこか遠くへ行ってみたかったのに、母は地元の札幌から出るなと言います。なら札幌ではできない学問を修めようと東京外語大のペルシア語学科に進みました。
学生時代の旅先はイランやトルコ。安い食堂に入ってくすんだ食器にゲンナリして、でも慣れるとたまらない味に魅了されました。

「私はマシンが好きなんだ」と気付き、バイクの免許をとったのもこの頃です。世界が広がり、少し寛容になれた気がします。世の中にはいろんな人がいて、いろんな楽しみがあるのだ、と。
カワサキとは不思議な縁がありました。まず、バイク屋さんに「初心者にはこれだ」と、半ばむりやり買わされたバイクがカワサキのGPX250Rだったんです。