野田聖子さんと成田奈緒子さんが語る、「母性」の呪縛から逃れる方法

野田聖子✖小児脳科学者・成田奈緒子 対談(後編)
「私のやり方って間違ってる?」「誰に相談したらいいかわからない」と子育てに悩んでいるママ(パパも)はたくさんいます。そんななか、ベストセラーになっているのが『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』です。

少子化担当の特命大臣で、来年の「こども家庭庁」創設にも意欲を燃やす野田聖子さんと、著者の成田奈緒子さんが対談。ママであり、子育ての専門家である二人が、悩めるママたちにアドバイスを送ります!

子育ては「七掛け」でいい

野田 この2年間、コロナで辛い話ばかりだったのですが、私にとっては二つ良いことがありました。26歳で県議会議員になって初めて家で長時間を過ごせる体験をするなかで、Netflixに出会えたことです。家に居ながら世界中を旅することが出来、英語もまた達者になりました。

成田 いいですね。

左:野田聖子氏/右:成田奈緒子氏

野田 もうひとつは、息子との距離が縮まったことです。コロナになる前、息子は「ママとはお風呂に入らない」と言っていたのに、一緒に入るようになりました。背中をゴシゴシしてくれたりとか。子どもは一緒にいてくれる人を大事にするんだろうなと改めて感じています。産んでくれた母親というよりも、近くに居てくれる存在なんですよね。

成田 そうですね。産んだほうが中心になって育てなくてはいけないというわけじゃありません。ただ、子どもとずっと一緒にいなければいけないと思うと、それもいずれはしんどくなるのではないでしょうか。

野田 そう思います。息子といると本当に疲れるんです。まったくもって制御不能です。向き合っていれば、腹が立つこともありますよね。そうすると、仕事が愛おしくなって、息子といた後は仕事を一生懸命頑張れるんですよね。

成田 よくわかります。切り替えが大事ですよね。ところが、日本のお母さんたちって「私が全部やらないといけない」って思い込んでいるところがある。働いているママでも、「仕事も子育ても全部頑張る」って。家では常にわが子にくっついてないといけない。私の自由な時間なんてない。全部子どもに捧げる。そういった感覚になりがちです。

野田 それはどうしてですか?

成田 先生が最近雑誌のインタビューでおっしゃってた「日本の女性の一番悪いところは真面目すぎる、頑張りすぎる」という部分かなと思います。

野田 そうそう。みなさん子育てをしっかりやられます。尊敬します。でも、私は子育てについては「七掛け」ですね。仕事柄「相当頑張らないと、男の世界の中で互角にやれない」という意識をずっと感じてきました。だから子育ては70%くらいでやらないと、体が持たなかったんです。夫が家にいてそれができる環境だからでしょ、と言われればそれまでなのですが、本来はパートナーと協力することでもっと育児の分担が出来ればいいのですが、なかなか上手くいかない家庭が多い気がします。

成田 日本のママたちがみんなしんどそうに見える。よって、若い女性も子どもを産み育てることに希望を持ちにくい。それが少子化の根っこにあるのかな、と思います。

野田 どこか間違ってる。子どもは母ひとりで育てられませんよね?昔は祖父母や近所のおじさん、おばさんとかが一緒に子どものお世話をしてくれていました。少なくとも高度経済成長期の途中まではそうだったと思うんです。ご近所付き合いも多くてお互いを頼りにしていた。それがにわかにいなくなってしまって……。

成田 核家族になり、地域というか社会で子どもを育てる環境が壊れましたね。それなのに、一番の責任者はやっぱり母親だよねっていう、旧い社会通念だけが残りました。

野田 周りの風景が変わりました。だから、担い手の「代役」を立てればいいんです。以前近所にいた頼りになるおじいさんやおばあさんの代わりに、ベビーシッターを使えるようにすればいい。水回りの掃除がちょっとしんどいと思ったら、業者さんに頼めばいい。そういう「外部の力」で使いやすい環境を用意すればよかったのに、日本ではそういう習慣が根付かなかった。

 

成田 そういうところを、子ども家庭庁で充足していけますか?

野田 先生がおっしゃるように、社会そのものが家庭にならないといけないんですよ。社会が多様化すれば、家庭も多様性をもつ。それこそ3組に1組が離婚する中で、不安定な家庭ひとつひとつを支えなくてはいけません。

関連記事