4月になり、新しい職場や学校、幼稚園や保育園に通い始めた人も多いことだろう。特に最初は手探りで、保育園は「慣らし保育」から始まっていく。4月入園だと5月終わりくらいまで少しずつ親子ともども支えられる保育園だが、ふっと疑問を抱くことが出てくることもある。保護者会のなかった保育園でコミュニティを作り、以降多くの保育園の現場を取材してきたジャーナリストの島沢優子さんが、最近の保育園事情を取材、ある教育熱心な保育園の保育士の懸念点から、保育園の役割を改めて考察する。

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保護者会のなかった保育園

先日、とある理由でいつもと違う美容院に行かねばならなくなった。そこで、子どもの保育園時代から仲良しのママ友に紹介してもらったところへ足を運んだ。椅子に座ると、美容師さんに「ひなコミをつくった方ですよね? うちの妻もひなコミで活動しています」と言われた。

ひなコミとは、子どもが通っていた保育園で私が仲間とつくった保育園の父母会である。園の名前とコミュニティをくっつけて「ひなコミ」とした。美容師さんのパートナーは、バザーなどの行事を企画したり、保育園と安全管理について話し合うなど精力的に取り組んでいるという。とても嬉しかった。

その保育園は特に問題はなく良い園だったが、保護者会がなかった。
「保育園は保護者ともっと向き合って力をつけてほしい」と偉そうに私が言い出してつくった。最近私が企画構成した『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(講談社+α新書)の著者で、子どもの脳に詳しい小児科医の成田奈緒子先生を講演に招いたり、当時ジェンダーバッシングの流れで実践が困難になっていた性教育の講座を専門家にやってもらったりした。園内フリーマーケットも人気だった。

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保育園は、私がライターとして深く入り込んだコンテンツでもあった。当時の小泉政権は「待機児童ゼロ作戦」を看板にあげ、保育園の増設をはじめ保育環境の整備を進めていた。ひなコミをつくった都内の保育園に入る前は、夫の転勤で移り住んだ仙台市で保活に苦労した。在住中に無認可保育園で乳児が亡くなる事故が起き、保育園の重要性を訴えなくてはと思ったのだ。

そのような経験をきっかけに、仙台市とその近郊を対象にした保育園ガイドを2冊、子育て情報本を1冊作った。当時では画期的だった地域限定の保育園と子育ての情報サイト『杜の子育てネット』を主宰。この活動が話題になり、NHKのゴールデンタイムのニュース番組に出演したこともある。したがって、今でも保育関係の方と情報交換をしている。

20年前に作成した保育園&幼稚園ガイド本 写真提供/島沢優子