一人旅に出たまま突然いなくなってしまった親友のすみれ。5年経っても、彼女の不在を受け入れることのできない真奈のもとに、すみれのかつての恋人・遠野が現れる。真奈は遠野から、彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。そこには、真奈とすみれの思い出とともに、真奈がずっと知らなかった彼女の秘密が隠されていた……。詩人としても活躍する彩瀬まるさんによる小説『やがて海へと届く』(講談社文庫)が映画化され、真奈を演じた岸井ゆきのさんと、すみれを演じた浜辺美波さんの対談が実現。作品の二大テーマである“友情”と“喪失”について大いに語ってもらった。

撮影/山本倫子
岸井ゆきの
1992年2月11日生まれ。神奈川県出身。2009年デビュー。17年映画「おじいちゃん、死んじゃったって。」で映画初主演を務め、第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、19年の「愛がなんだ」では、第11回TAMA映画祭最優秀新進女優賞並びに第43回日本アカデミー賞新人賞をそれぞれ受賞する。近年の主な出演作に、映画「99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE」、ドラマ「恋せぬふたり」などがある。
浜辺美波
2000年8月29日生まれ。石川県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションニュージェネレーション賞を受賞。同年「浜辺美波〜アリと恋文〜」で映画主演を飾る。17年映画「君の膵臓をたべたい」で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞を受賞。近年の主な主演作に、21年の「映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット」、先日、好評のうちに終了したドラマ「ドクターホワイト」などがある。
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「親友」と呼べる人は?

――映画のキャッチコピーは、「あなたのことを、私はどれだけ知っているのだろう。」です。映画からは、これを観た誰もが、「自分に親友はいるんだろうか?」とか、「自分は相手のことをどれだけ理解して、受け止められているのだろうか?」と、自分ごとに置き換えてしまいそうな、根源的なメッセージ性が感じられました。お二人は、今回の役を演じるにあたって、プライベートでの友人や親友との関係を投影させたりしたんでしょうか。

岸井 私には、幸い、親友と呼べる人が一人います。その人の存在は、今回、真奈を演じた際のベースになっています。真奈とすみれとの関係とは全く違いますが、私たちはすごく仲がよくて、何でも言い合える。すごく尊敬に値する相手なのに、接し方はフランクでいられる。私からすると、どこか相手に憧れているところもあって。

浜辺 素敵な関係ですね。

岸井 私もそう思います(笑)。ただ、この映画を通して、親友との関係についての見方が変わりました。今までは、この関係がなくなるなんて考えられなかったし、考えてもみなかったけれど、大切な人が突然いなくなることって、誰にでもあり得ることなんだな、って。

浜辺 その人とは、いつ知り合ったんですか?

岸井 6〜7年前。私が23か24歳のときです。

浜辺 (目を丸くして)へぇ、学生時代とかじゃないんですね!

岸井 そう。学生時代に知り合った友人じゃないのに、ずっと昔から一緒だったみたいな感覚があるんです。出会った時から、フィーリングがバチッと合い続けている。最初からウマが合って、その関係がずっと継続しつつ、どんどん絆が深まっている。ふふふ。美波ちゃんは、親友と呼べる人はいるの?

撮影/山本倫子

浜辺 真奈とすみれっては、お互いに「親友だよね」なんて言葉で確認はしないけれど、ずっと一緒にいる関係ですよね。でも、私の場合は全く逆で、お互い「あなただけだよ」という感覚なのに、連絡も滅多に取らないし、会うこともそんなにしない。たまに長い電話はするけど、私たちが仲良いことを知っている人は少ないだろうなという……。そういう親友が一人います。

岸井 へぇ。それもなんだか特別。