宇宙から地球に降り注ぐ「宇宙線」が生物を大進化させた説は本当か?

「進化は連続的」という落とし穴

宇宙線が進化を加速?

「地球に宇宙線が大量に降り注ぐと、生物の進化が加速される。多細胞生物の誕生などの大進化には、こういう宇宙線が関係しているのである」

こういう考えを、最近よく聞くようになった。宇宙線というのは、宇宙空間を飛び交う原子核や素粒子などのことで、非常に高いエネルギーを持っている。この宇宙線の影響によって生物の大進化が起きるという考えは昔からあったのだが、最近になって人気が出てきたようである。

それには、DNAの塩基配列を手軽に調べられるようになったことも関係しているかもしれない。宇宙線(に相当するもの)を細菌に照射すると突然変異が誘発されることが、簡単に確かめられるようになったからだ。

最近の説の1つを紹介しておこう。かつての地球には、比較的近くで超新星爆発がたくさん起きたりしたことがあった。そういうときには、大量の宇宙線が地球に降り注いだ。その宇宙線の影響によって、生物の遺伝子に突然変異が頻発して、新種の形成が促進された。つまり、宇宙線によって、生物の進化が加速されたのである。単細胞生物から多細胞生物への進化などは、宇宙線によって進化が加速された例と考えられる。だいたいこんな感じの説である。

【イラスト】大量の宇宙線で進化が促進された!?大量の宇宙線で進化が促進された!? photo by gettyimages

たしかに、生物の進化の原動力は突然変異である。生物にさまざまな突然変異が起きて、その中から生存や繁殖に有利なものが自然淘汰によって選択されて、生物は進化してきた。だから、大量の宇宙線が地球に降り注いで、突然変異がたくさん起きれば、生物の進化は加速しそうである。そうであれば、宇宙線が大進化を引き起こした、という説も正しそうだ。

でも、どこか変な気がする。突然変異がたくさん起きれば、本当に進化は加速されるのだろうか。

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