2022年2月8日に刊行された『ホワイトカメリア』という小説が、わずか1ヵ月で5回の重版が決まるという快挙をなしている。著者は「MIYAMU」でカバー挿画と挿絵が「yasuna」で本著が初めての小説だというふたり。恵比寿のバーを舞台に、6人の男女の目線で物語が紡がれていく恋愛小説で、小説家のカツセマサヒコ氏は帯に「素直になれたら、恋は終わりだ。面倒な感情と向き合う6人がただ愛おしい」という言葉を寄せている。ネット書店でのレビューも高評価が多く、SNSで検索しても熱量の高いコメントが続々出てくる。

「言葉のチョイスと語彙力に感無量。1回読むだけじゃもったいないくらい1ページ1ページめくるのが楽し過ぎた」

「『かがみの孤城』と『ホワイトカメリア』が本当に良かった。読み終えてから少し時間が経ってるのにまだ余韻に浸ってる、、」

「ああ、なんて面倒で不器用な大人たちなんだろう。みんなのことが愛おしくてたまらない。ラストに至るまで、伏線が回収される度にぼろぼろになりながら読んだ。成瀬くんと藍ちゃんの会話に涙が止まらなかった」

面白い小説だからといって、必ずしも売れるとは限らない難しい世界。無名の著者が初めて刊行した小説にこれほど熱いコメントを寄せられるのはなぜなのか。素顔が明らかになっていないMIYAMUさんとyasunaさんのインタビューを独占公開する。前編では、おふたりの素顔についてお聞きする。

-AD-

大学時代に「幸せな瞬間を増やす」会社を起業

――MIYAMUさんのプロフィールにはこう書かれています。「東京・恵比寿にあるBar Citr0n(シトロン)にて数々の恋に悩めるフォロワーたちの恋愛相談にのってきた。失恋バーの愛称でSNSで広く人気を博す。また占い師としての顔も持ち、Net-ViViにて毎月連載中」――どうやら主人公と同様に恵比寿にバーを経営しているようですが、経歴は全く見えてこないプロフィールです。これまでの経歴を教えていただけますか?

MIYAMU 大学生だった時に、仲間と3人で、思い出の場所に出張してカップルや家族の幸せな姿を撮影する会社を起業しました。今から8年前のことです。写真を撮るのはプロの契約カメラマン。社名は「かけがえのない愛(Love)を写真(Photograph)に残すことで、世界中の一人ひとりの幸せな瞬間を増やし続ける」というコンセプトのもと「ラブグラフ」と名付けました。

卒業後も引き続き事業に専念しても良かったのですが、当時の僕はビジョンはあっても専門知識はない一学生。そこで会社は代表に一任し、僕は「企画とか営業といったビジネスを学んでから戻るね」とリクルートに就職することにしたのです。

仲間の一人だったデザイナーの女の子も同じくリクルートに入社したものの、もともと技術があった彼女は「戻って事業を手伝ってほしい」と代表に乞われて退社。結果、僕だけが外で経験を積むことになりました。

MIYAMUさん 撮影/柏原力

――学生時代から起業して、それからリクルートに入社していたんですね。リクルートはとても忙しいと思いますが、それから失恋バーを経営するに至るにはどんな思いがあったのでしょうか。

MIYAMU リクルートでは若輩者ながら複数の事業部を任されるなど、早々に成果を上げることができ、多くのことを学べました。そこで3年半でラブグラフに復帰したんです。会社はかなり大きくなっていて、契約カメラマンの数も400名ほどに増えていました。戻ってからはカメラマンの採用や新規スタッフのリクルーティング等に関わったのち、ある程度自分のなかで区切りがついた時点で独立。2021年11月に法人を立ち上げ、念願だったバー事業をスタートさせて現在に至ります。