「ほらほらもっと食べなさい」とスッカラ(韓国式のスプーン)のごはんの上におかずを乗せるオンマ(엄마おかあさん)。韓国ドラマでよく見かける場面だ。また、BTSのメンバーも、母親と仲がいいツーショット写真(非公式)をネット上に上げていたりする。母親と息子の距離が近く、「韓国男子のほとんどはマザコン」という噂もあるが、果たして本当にそうなのだろうか? 

韓国情報をわかりやすくYouTubeで配信している韓国人ユーチューバーのジンさんと妻のJちゃんに、韓国マザコン事情について、自らの経験含めて本音で話を伺ってみることにした。

以下より、ジンさんの解説です。

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「オンマ」連呼でも「ママボーイ」とは限らない

韓国では「マザコン」のことを「마마보이(ママボーイ)」と言います。日本で「マザコン」はあまりいい意味では使われないように、韓国でも、一人では何もできない男性=マザコンになります。つまり自立していない男性のことですね。

ただ、「母親の話をする男性」=ママボーイとは限りません
BTSをはじめ、K-POPアイドルが、バラエティー番組やインタビューで、「オンマ(お母さん)が〇〇〇で~」と母親の話をするシーンが出てきますよね。以前、BTSのオリジナルのバラエティ番組の『RUN BTS』の中で、昔の曲を当てるクイズがあったときに、Vとジョングクが自分の母親に電話をして「オンマー」と助け求めるシーンもありました。また、ネットなどに、母親とハグしたり腕を組んでいる姿を公開するアイドルや俳優もいます。

「オンマ」の話もよくするBTS。10代から家族と離れて暮らしてきたことも大きいのかも。photo/Getty Images
BTSのJINのソロ曲『Mom(엄마) 』のサビを歌って盛り上がるメンバー。「何よりも大切」と母の愛を歌った曲。BANGTANTV (YouTube)

これを見て、彼らがママボーイ、マザコンなのかというとちょっと違います。

もともと韓国人はスキンシップ好きで、ハグしたり腕を組んだりするのは、カップルでなくても親子でも友人でもよくあります。しかも、アイドルは、両親と離れて暮らしているケースがほとんどです。10代半ばから親元を離れて、事務所の寄宿舎などで暮らし、母親とのコミュニケーションがあまり取れていません。もしくは今は一緒に暮らしていてもそういう時期があったから、「母親を大事にしたい」というのが大きいのではないかと思います。みんな仕事が忙しくて、家族とはなかなか会えませんからね。

さらに韓国では、活躍しているアイドルや俳優に対して、「海外で歌ったりファンミーティングを開いたりして芸能活動は一生懸命やっているけど、ちゃんと親孝行もしてるのか?」と思う世代も多い。そういった世論も含めて、母親と仲良くしている姿を見せることで、ようやくバランスが取れるわけです。「忙しくても親を大事にして、なかなかいい子じゃないか」と、ほのぼのした雰囲気に着地できるのです。

母親と仲良しな姿を見せることは、活躍するためには大事な「戦略」だと思います。戦略と言うと悪いことに聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。これは一般でもあることだと思います。例えば、私は日本に住んでいるので、たまにしか母親に会えません。私の実家の前に急な坂があるんですが、帰国したとき腕を組んで登って歩くことがあります。でも、それは母とたまにしか会えないから、優しい気持ちになるというのでしょうか。もしも一緒に住んでいて毎日顔を合わせていたら、たぶんやらないんじゃないかなと思います(笑)。