デビュー曲の「夜に駆ける」MVのyoutubeでの再生回数は、2億5000回超え。ストリーミング再生回数は累計7億回を超え、Billboard JAPAN史上初の記録を更新。2021年は紅白歌合戦にも出場し、若者を中心に大きな人気を集めるアーティスト・YOASOBI。彼らを語る上で欠かせない人物がいる。

出典/youtube「夜に駆ける」 Ayase / YOASOBI

クリエイターの藍にいなだ。「夜に駆ける」のMVでは全編のアニメーションを制作し、ポップなカラーや繊細な絵のタッチで魅せる一方で、グロテスクな表現も混ぜ込むことにより、唯一無二の世界観を築いた。その後、米津玄師「カナリヤ」や山下達郎「さよなら夏の日」、Hey!Say!JUMP 「千夜一夜」など、大物アーティストのMVのアニメーションも多数手がけ話題になった。

彼女が「夜に駆ける」のMVを制作したのは、東京藝術大学に在籍していたときのことだった。彼女はどのようにして今のクリエイターとしての道を切り開いたのか。その半生を振り返りながら伺った。

藍にいなさんがどのように今に至ったのか――
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学生時代から「仕事に繋がる」ことをしたかった

藍にいなが芸術の道へと足を踏み入れたのは、母親の一言がきっかけだった。

「高校時代、大学の進路を決めるとき、母親に『そんなに絵を描くのが好きなら美大に行けば』と勧められたんです。そこで“あ、私って絵が好きだったんだ”って気づきました。確かに言われてみれば、家にいるときは絵ばかり描いていましたね。あとは、小学生高学年のころにパソコンを買ってもらったので、ネットサーフィンとか。かなりインドアな子供でした。パソコンと一緒にペンタブも買ってもらったので、その頃からデジタルでもイラストを描くようになりました。と言っても、ペンタブは今も得意じゃないんですけどね。大学生になって液タブを使うようになってから、デジタルでも本格的にイラストを描くようになりました」

彼女が「藍にいな」として自分の作品を世に出し始めたのは、2016年の5月。Twitter上でのことだった。

2016年5月からTwitterで作品を出し始めた

大学で制作した成果物を、もっといろんな人に見てもらいたいという気持ちがありました。絵を描くことを仕事にしたいとは思いつつも、堅実な性格なので、どこにも就職せずにフリーで活動をする勇気はなかった。だったら学生時代から仕事に繋がるようなことをたくさんしてみようと思って、イラストや漫画を投稿し始めたんです。最初イラストだけ投稿していたときはあまり反応はありませんでしたが、普段落書きで溜めていた漫画を投稿するようになって、一気に反響が得られるようになりました」