「新型コロナワクチンで超過死亡が急増中!」のフェイクのからくり

死亡原因の細かな検討が必要
ワクチンに反対する人の中には、毎年の死亡者数と比べた超過死亡に注目して、ワクチン接種が超過死亡を招いたと主張する方もいます。果たしてこの見方は正しいのでしょうか。現代新書の最新刊『新型コロナの不安に答える』の著者で、免疫学の第一人者として知られる宮坂昌之氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)がやさしく解説します。

「ワクチン接種が超過死亡を招いた」という主張

ワクチンに反対する人のなかには、毎年の死亡者数と比べた超過死亡に注目して、2021年から本格的に始まったワクチン接種が超過死亡を招いたと主張する方もいます。確かに、2020年9月~2021年9月までの死亡者数は約107万5000人で、死亡者数の対前年比の増減を見ると5万9810人増えています(図1上)。これは東日本大震災が起きた2011年の4万9680人を上回っています。ワクチン接種に反対する方は、これを、ワクチン接種に起因すると主張します。

 
図1:死亡者数の対前年増減数と2021年の主な死因の増減
(2021年12月10日 日本経済新聞より転載)

しかし、同じ調査の、死因増減の内訳を見るとかなり印象が違ってきます(図1下)。死因増の最も大きい寄与要因は、新型コロナウイルス感染症による死亡です。

また、「老衰」「自殺」など、ワクチン接種と関係性が薄い増加要因もあります。「がん」「脳卒中」「心不全」は増えていますが、ワクチン接種がこれらの病気の死亡リスクを高めているという科学的なエビデンスはありません。後述するように、ワクチン接種が若い世代の心筋炎発症の頻度をやや高めるという報告はありますが、大部分は軽症で抗炎症剤の投与などの治療で回復しています。

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