2022.03.26
# ロシア

カネに物を言わせて…プーチン専制政治を支えた超大富豪「オリガルヒ」の知られざる“晩餐”

「オルトラン」を求めて…

筆者はジャンルを問わず多くの本を読む。乱読と言っていい部類であろう。年初に読んだM・W・クレイヴンの『ブラックサマーの殺人』(ハヤカワ文庫)を取り上げるが、その理由は後述する。

著者のクレイヴンは前作『ストーンサークルの殺人』で英国推理作家協会主催の最優秀長編作品賞「ゴールド・ダガー」を受賞し、今や英国ミステリ小説におけるリードオフマンである。

本書は主人公の刑事ワシントン・ポーと殺人鬼のカリスマシェフ・キートンとの知恵比べが主要テーマだが、残虐な殺人事件発覚の切っ掛けと結末に登場するフランス料理の逸品オルトラン(ortolan野鳥のズアオホオジロ)が謎解きのキーワードとなる。

実は、オルトランと筆者には浅からぬ因縁がある。契機となったのは10年以上も前の日本経済新聞夕刊連載のコラム「人間発見」シリーズの「フレンチで打ち解けて(2)」(2011年7月12日付)だった。登場したフランス料理界の巨匠、ジョエル・ロブション氏(故人)が、1966年にパリの人気店「ル・ベルクレー」に21歳で入店した修行時代、店内で目撃したシュルレアリズム画家のサルバドール・ダリについて語ったのだ(今も同記事コピーを保管している)。

雀より小さな渡り鳥であるオルトランは脂が乗った熱々のものを頭から食べるが、ダリはその繊細な香りを独占するべくベールをすっぽりと被って味わっていたと、ロブション氏は驚きを込めてその目撃談を紹介している。

以来、高価な食材であるが、いつの日かオルトランを食してみたいという想いに囚われてきた。1年半後の13年1月にパリを訪れる機会があり、チャンス到来とばかり胸(否、腹)が躍った。

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